令和6年能登半島地震の発生から2年。地域に根差したエネルギー事業者として、グループ一丸となって復興を後押ししてきた。
能登を含む北陸地域全体の発展に貢献するべく、ビジネスの拡大と経営基盤の強化を着実に進める。
【インタビュー:松田光司/北陸電力社長】

井関 「令和6年能登半島地震」の発生から2年が経過しました。復興状況をどう見ていますか。
松田 2024年元旦に発生した能登半島地震と、それに続く9月の奥能登豪雨により能登半島は大きな被害を受けました。着実に復興の歩みを進めていますが、完全な復興にはまだまだ時間がかかります。
北陸電力グループは配電設備、送変電設備、発電設備などに660億円にも及ぶ損害を被りました。停電については、発災後、1か月以内に復旧することができましたが、豪雨と併せて約3300本の電柱の建て替えが必要となりました。今年度中に3分の2の対応を終える予定ですが、残りの1100本は、道路の復旧状況などに合わせて進めて行く必要があるため、地元自治体などと連携して可能な限り早急に工事を進めていきます。
井関 今後の復興に向けどう取り組みますか。
松田 これまで、被害を受けた地域への移住促進や雇用創出、なりわい再建などを目的とした割引料金メニュー「こころをひとつに震災復興応援でんき」の創設や、災害により発生した流木や家屋などの解体がれきのバイオマス燃料としての活用などに取り組むことで、復興を支援してきました。割引メニューの申込件数は家庭・企業合わせて計1600件に上り、復興の後押しになると好評の声をいただいています。
また、地震により大量に発生した廃瓦(能登瓦)を有効活用するため、当社が開発した石炭灰に太陽光パネルガラスを混合し廃瓦も加えた「インターロッキングブロック」は、大阪・関西万博に出展したパビリオン「電力館」敷地の構内舗装に採用され、当社から提供させていただきました。閉幕後は全て持ち帰り、万博のレガシーとして、当社の本店ビル西側緑地帯などに再利用していく予定です。
また、自治体施設などでも活用のニーズがあれば使っていただきたいと考えています。これらの取り組みにとどまらず、廃瓦を復興事業に活用することを目指し、石川工業高等専門学校と共にフライアッシュコンクリートの活用方法についても共同研究を進めています。
災害の知見を全国に共有 レジリエンス強化に貢献
井関 和倉温泉における復興プロジェクトにも参画しています。
松田 地元の方々を中心に、単なる復興ではなく、能登に暮らす人、働く人、訪れる人全てが幸せになれる創造的復興を目指して和倉温泉のまちづくり協議会が発足しました。当社もこの取り組みに積極的に参画し、専従の社員が「脱炭素エネルギーによる地域連携プロジェクト」のリーダーを務めています。
単なる再生ではなく、将来のカーボンニュートラル(CN)にどうつなげるかや、和倉温泉の貴重な温泉熱エネルギー(温泉排熱)を活用できないかなどを目的としており、エネルギー事業者としての知見を生かし、先進的な温泉地となるよう、地域の未来を見据えた取り組みをけん引していきます。
井関 震災で得た知見の活用にも積極的に取り組んでいます。
松田 未曽有の激甚災害を経験した事業者として、ハード面のレジリエンス強化はもとより、道路状況の把握や、資材や水・食料の調達、トイレや宿泊先の確保などのバックヤード業務、そして自治体などとの連携、規制上の課題など、いわゆるソフト面が非常に重要であると強く感じました。災害で得た知見や対策を全国の関係機関に共有・展開しレジリエンス強化に貢献することが使命、責務だと認識しています。レジリエンスの強化には、ハード・ソフト両面の知見の活用が欠かせません。現在、後方支援などにかかわるソフト面の知見については、実際の災害対応に当たり体験した課題や対応案を集約し、整理を行っているところです。

例を挙げると、地震直後、能登半島全域が緊急用務空域(=事前の現地確認・申請が必要)に指定されたことで、迅速なドローンによる巡視・点検の妨げになったほか、避難所に電気を供給する電源車の軽油燃料取り扱いにおいて消防法による事前承認が必要になるなど、規制面での壁があることに直面しました。また、1日最大1400人もの復旧作業員が使う仮設トイレのし尿処理など、さまざまな困難があった訳でありますが、当時は一つ一つ、それぞれ関係機関と調整しながら解決を図ってきました。こうした経験を踏まえ、平時のうちに、遅滞なき災害対応、課題解消に向けて、国、地元自治体などの行政機関、災害時連携協定を締結している関係各所への働きかけ、防災訓練の強化などを通じて対応の実践的なブラッシュアップを図っていくことが重要であり、引き続き取り組んでいきます。








