【業界スクランブル/火力】
昨今、米価が上昇し、政府が備蓄米の放出に踏み切ってもなかなか価格が下がらない状況が続いた。こうした中、政府は従来の入札方式による備蓄米の売却から、特定の事業者と価格交渉を行う「随意契約」方式に転換した。政府が設定した安価な備蓄米も流通しているものの、価格が以前のように落ち着く時期は依然見通せない。今回の対応は、行政が「市場メカニズムに委ねるだけでは限界がある」と自ら認めたことを意味する。
一方、電力システム改革においては、供給力不足や市場価格の高騰、価格ボラティリティの拡大という課題が指摘され続けているにもかかわらず、「全面自由化によって競争が生まれ、価格が下がる」とする従前の考えに固執しており、この前提から離れることができないでいる。
そもそも価格とは需給関係の結果として形成されるものである。需要が供給を上回っていれば価格は上昇し、供給を増やさない限り、どのような制度上の工夫でも価格上昇を抑えることはできない。
電力の供給力確保には巨額の初期投資と長期的な回収見通しが必要であり、市場の不安定さが投資を妨げるという逆転現象も発生している。自由化制度に後付けで規制を加えるやり方では、むしろ問題の本質を見失いかねない。
米も電力も、場当たり的に「市場の仕組み」や「規制」を継ぎはぎするだけでは真の問題解決に近付かない。需要と供給という物理的・経済的な現実を見据え、より実効性のある制度とは何かを、いま一度問い直すべきではないか。
「安定した供給こそが本質」であるという視点に今こそ帰結すべきなのである。(N)



