〈メディア人編〉大手A紙・大手B紙・大手C紙
大半の予想を覆し自民党新総裁に高市早苗氏が就任。そして公明党離脱で怒涛の展開へ突入した。
―政局が大混乱となっている。まずはその序章となった自由民主党総裁選の感想からどうぞ。
A紙 今回は右寄りメディアの姿勢に物申したい。高市早苗氏支持の党員の離党について週刊文春が報じたが、産経は地元に確認を取らないまま載せていたようだ。これは党の管理の問題であり、小泉陣営のせいにするのは下品。高市氏の周辺はなんでもかみつきすぎだ。
B紙 ニュースが総裁選一色となる中、優勢とされた小泉進次郎氏が政策をあまり語らず、盛り上がりに欠け、政治部は苦労していた。そして投開票前日には小泉氏は厳しそうとの話がまわり、ふたをあければ高市氏の党員票が圧倒的だった。女性初の首相誕生はエポックメーキングだし、個人的には思い切って動けない少数与党なら高市首相でも良い。ただ、麻生太郎氏に好き勝手やらせすぎだ。
C紙 高市、小泉、林の三つ巴かと思ったが、高市氏が獲得した党員票は4割に上り、ドブ板選挙の結果だ。一方の小泉氏は語っても語らなくてもダメだとはっきりし、終了の感が漂う。ステマ報道などがタイミングよく出たのも、要は人気がないから。そして林芳正氏は宏池会が割れる中、党員票・議員票ともに善戦し、次の芽が出てきた。
A紙 高市氏は最後の演説のペーパーを茂木敏充氏、小林鷹之氏に渡すなどしっかり段取りし、読み間違えないよう目を落としていた。麻生氏の「国家老」たる福岡県議が暗躍したと聞く。結局は小泉氏の一人負けだった。
B紙 途中で外遊したのも文春砲から逃げるためだ。彼はよくも悪くもカラーがない。今国民が求めているのはカラーのある人だ。それなりに柱を持つ高市氏なら、投票した議員も言い訳できる。44歳の小泉氏の首相の道は遠のき、小林氏の方が先になるかもね。
C紙 陣営には小泉氏の利用価値で寄ってきた人が多く、彼らは早い時期から調子の乗り方が異常だった。挙句12人にカレーパンを食い逃げされた。
ガチだった公明 80年所感とバッティング
―ついに公明党が政権から離脱し、衝撃が走った。
B紙 発表前日の10月9日夕時点で離脱は決定的との情報が流れた。創価学会側の意向が強かったと聞く。一番印象的なのは、斉藤鉄夫代表のすっきりした表情だ。衆院選、都議選、参院選と良いところがなく、自民は相当な重荷だったのだろう。
C紙 自民は「公明は政権のうまみからは離れられない。騒いでいるだけで結局収まるだろう」とタカをくくっていた。でも連立の相手は自民でなくても良く、公明はガチだった。
A紙 ただ、高市氏に帰責するような議論は筋違い。公明支持者が「政治とカネ」の尻ぬぐいをさせられ、それに何の手も打たなかったのは岸田文雄・石破茂両氏だ。「還流」首謀者をあぶり出せない清和会も同罪といえる。
一方、「中国駐日大使の入れ知恵」といった高市支持者とみられる公明バッシングもいただけない。逆に高市政権成立後の政策実現可能性を損ねている。無能な味方は本当に恐ろしい。
C紙 こうなる前に、両党は安倍政権の安全保障関連法でもめた時に距離を取っておけばよかった。そうしていれば、公明は小さくても今も存在感を発揮できたはずだ。結局、その時決断できなかったことでお互い不幸になった。
A紙 斉藤氏自らの「政治とカネ」問題も蒸し返された。相続分の不記載と、パー券収入の不記載は同一ではないが、果たして全く違うと言い切れるのか。また、報道に作られた「政治とカネ」の幻影に囚われてはいないか、とも思う。
B紙 それにしても、公明離脱が石破首相の「戦後80年」所感の発表と重なったことは不運としか言いようがない。内容は悪くはないが新しい点はなく、2カ月引っ張った意味はない。毎日はこの所感を1面で扱わず、公明離脱だけで1面を作っていた。日本政治史の節目の報道としては適切な判断だったと思う。
早期解散の公算高まる 幸いエネ政策は「凪」か
A紙 四半世紀ぶりの大政局で「数合わせ」が焦点となるのはやむを得ないが、エネ政策などの不一致を覆い隠す連合の容喙、立憲のなりふり構わぬ姿勢は大いに批判されるべきだ。
C紙 埋没を避けるため「玉木雄一郎首相」なんて言い出した立憲民主党は本当に終わりそう。他方、高市氏は意外と柔軟性がありオポチュニストの面も。平時はタカ派だが支持率が下がってきたら変容するかも。そうした面がばれないうちは、うまくやっていきそうな気がする。
A紙 解散総選挙の可能性が高まっている。タイミングは補正予算など通過後の常会冒頭か?そんな中、エネルギー政策への影響はフラットと思われるシナリオの可能性が高いことは、不幸中の幸いといえる。
C紙 ただ、円安とインフレが止まらない中、ガソリン暫定税率廃止まで断行して本当に大丈夫か。財政規律重視の日経の静観も良くない。
B紙 いずれにせよ、国会を開かないまま3カ月経ち、国民生活に目を向けた議論がされていない。石破首相は左派にも演説を評価されたが、結局それだけの政権だった。この1年は国民にとって実に不幸だったと思う。
―そしてにわかに自民・維新連立の可能性が高まった。大きく動きだした日本政治の向かう先は―。
(座談会は10月中旬に開催)