【中部電力 林社長】電力需要増に対応 産業集積地中部の持続的な発展に貢献

2026年1月1日

洋上風力第1ラウンドから事業撤退したものの、引き続き全国で各種再エネ開発に注力するとともに、浜岡原子力発電所の早期再稼働へ取り組みを着実に推進。

DX・GXの進展に伴う電力需要の増加に対応し、産業集積地である中部エリアのモノづくりを支え、地域の発展に貢献していく。

【インタビュー:林 欣吾/中部電力社長】

はやし・きんご 1984年京都大学法学部卒、中部電力入社。2015年執行役員、16年東京支社長、18年専務執行役員販売カンパニー社長などを経て20年4月から現職。

井関 2025年度中間期の連結決算は減収増益でした。

 中間期は、洋上風力発電事業撤退損失として136億円を計上するなど収支悪化要因がありました。一方で、夏季の高気温影響に加え、中部電力ミライズにおける電源調達ポートフォリオ組み替えによる費用削減効果の拡大などグループを挙げた収支向上努力により、通期の連結経常利益は2300億円(期ずれを除き2100億円)と、中期経営目標である「2000億円以上」を上回る見通しとなりました。金利の上昇や物価高といったマイナス面を打ち消す「稼ぐ力」を付けられたこと、そしてコストダウンが実行できたことは、何より社員の努力によるものです。


選択と集中を徹底 資本効率の向上図る

井関 今年度は「経営ビジョン2・0」の達成を見据えた中間地点であり、現行中期経営計画の最終年度です。経営目標達成への手応えはいかがでしょうか。

林 最終年度に2000億円の経常利益の確保を目指してきた中、(期ずれを除き)2100億円程度となる見通しとなり、計画は順調に推移していると実感しています。ROIC(投下資本利益率)も3・3%程度と、目標の3・2%以上を上回る見込みです。一方で、当社を取り巻く事業環境・投資環境は、米国関税政策をはじめさまざまなリスクがあり、先行き不透明な状況が継続することが想定されます。さらなる市場対応力の強化やコストダウンに加え、各事業のモニタリング、投資案件の評価などのリスク管理を徹底することにより利益水準の確保に努め、確実な目標達成を目指していきます。

ミライズはソリューション提案に力を入れている

井関 26年には次期中期経営計画を策定することになりますが、何がポイントになるでしょうか。

 物価・労務単価・金利の上昇など、当社を取り巻く事業環境は厳しい状況が続きます。そうした中で、限りある経営資源を最大限活用し資本効率を高めるため、「思い切った選択と集中」を踏まえた新しい事業ポートフォリオやその実現に向けた工程などの検討を進めており、次期中期経営計画で新たな成長戦略を示す方針です。エネルギー事業のみならず、海外事業や不動産事業、資源循環事業など多角化を進めてきた中で、いずれかの分野をなくすというわけではなく、それぞれの分野の中で選択と集中を進め、将来性のある取り組みに注力しつつ、撤退基準に抵触するものについては撤退を判断していきます。

経常利益、ROICは現行の中期経営目標を達成できる一方、ROE(自己資本利益率)は6%程度となる見込みで、その改善は当社にとって最重要課題の一つです。次期中期経営計画では、資本市場から期待されている8%を意識して目標を設定することを検討しています。

井関 25年6月に公表された電力広域的運営推進機関の需給シナリオで、電力需要が大幅に増大する将来見通しが示されました。中部電力エリアの足元の動向と将来見通しはいかがでしょうか。

 25年度の電力需要は前年度並みの水準で推移しています。米国の関税政策による電力需要への影響については、先行きの輸出産業関連の生産動向に懸念はあるものの、足元において生産計画の見直しを行った企業は少ないものと認識しており、現時点では大きな影響は生じていませんが、引き続き状況を注視していきます。

また、広域機関の見通しでは、中部エリアの24年から10年間の電力需要の伸びは全国平均に比べると下回っています。ですが、中部エリアはモノづくりが盛んな産業集積地であり、AIやロボティクスを前提とした自動化などのDX(デジタルトランスフォーメーション)・GX(グリーントランスフォーメーション)に伴うポテンシャルは高く、デジタルインフラの拡大や、カーボンニュートラル実現に向けた電化が進展することによって、電力需要が増加する可能性が高いと考えています。DX・GXの動向は需要想定に与える影響が非常に大きいことから、エネルギー政策やエリアの産業動向などに目を配り、適切に需要見通しに反映していきます。

グループ全体でのデータセンター(DC)などの大型需要誘致に加え、ミライズのソリューション活動の一環としてGX実現に向けた電化提案などにも取り組むことで、さらなる電力需要の創出につなげるとともに、モノづくりが盛んな産業集積地である中部エリアの持続的な活性化に貢献していきます。

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