【中部電力 林社長】電力需要増に対応 産業集積地中部の持続的な発展に貢献

2026年1月1日

投資の着実な実行へ 調達手段の多様化図る

井関 需要増を支える電源(維持・新設)および送配電網への円滑な投資に向けた資金調達戦略についてのお考えは。

 財務規律を悪化させないよう、自社で資金調達していくことが基本です。特に長期資金については、金融市場や投資家動向および資金需要の状況を見極めながら、社債、または借入金にて適時適切に調達していきます。電力需要が増加する中で必要な投資を行えるよう、資金調達の多様化も図っていきます。具体的には、ESGファイナンスのさらなる活用や外債発行の検討、国で議論されている政府の信用力を活用した融資制度の設計について動向を注視していきます。

井関 三菱商事とシーテックが共同で進めていた洋上風力発電計画から撤退しました。中部電力としての受け止めをお聞かせください。

 第1ラウンド3海域は、国内洋上風力発電の拡大に向けた大変重要な案件だと認識しており、事業撤退の判断に至ったことを重く受け止めています。地域の皆さまおよび、関係者の皆さまにはこれまでご理解とご支援をいただいてきたにもかかわらず、ご期待に応えられない結果となったことに深くおわび申し上げます。

しかしながら、洋上風力発電は、大規模開発のポテンシャルが高いことに加え、安定した風況を確保でき効率が高いことから、日本の電力安定供給と脱炭素化の同時実現に向け、期待が寄せられている電源だと認識しています。当社としても引き続き、洋上風力発電の開発に取り組んでいきます。

各種再エネ電源を最大限に活用する。写真は豊明濁池ソーラー

井関 今回の撤退を踏まえ、再エネの導入目標を見直すことになりますか。

 「経営ビジョン2・0」において「30年頃に、保有・施工・保守を通じた再エネ320万kW(80億kW時)以上の拡大に貢献」という目標を掲げています。25年9月末時点の当社グループの持分である設備容量は約119万kWと、進ちょく率は約37%であり現時点でこの目標を見直す予定はありません。再エネと原子力をセットで最大限活用していかなければ、日本の将来の電力需要の増加に対応しつつ脱炭素化を実現することはできません。目標達成に向けて、洋上・陸上風力発電、太陽光発電、バイオマス発電、地熱発電、水力発電の開発に全力で取り組んでいきます。

井関 卸取引の内外無差別の徹底や、今後は中長期市場の創設が検討されるなど、調達環境が目まぐるしく変化しています。そうした中での発販分離のメリット、デメリットはありますか。

 分社後、夏季や冬季の重負荷季における需給ひっ迫など厳しい局面もありましたが、当社の使命であるエネルギーの安定供給をグループ一体で果たしています。それぞれの事業会社が市場やお客さまと向き合い、独自の戦略を展開し、アライアンスを構築するなど、スピード感を持って自律的に事業運営ができることが分社化の最大のメリットです。確かに、発電と小売の間で需給変動や市場価格変動によるリスクを社内で相殺できる‶内部ヘッジ〟の効果は弱まるというデメリットは存在しています。

ただしこのデメリットは、内外無差別の徹底や、中長期市場の整備に伴い緩和されていく方向であり、発販分離のメリットはデメリットを上回るでしょう。今後もグループ大でのバリューチェーンの強靭化を推し進め、電力の安定供給とグループ全体の収支向上を両立していきます。

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