【北陸電力 松田社長】能登の復興に注力 安定供給と脱炭素化で北陸の発展に貢献する

2026年1月1日

財務目標を引き上げ 自己資本比率25%へ

井関 業績は大変好調ですね。

松田 21、22年度は、ウクライナ危機を契機とする燃料費の高騰で2期連続の赤字を余儀なくされ、自己資本比率は12%台に落ち込みました。電気料金を値上げさせていただくと同時に、社内では聖域なき経営改革を進め体質改善を図ってきました。その結果、23年度に策定した新中期経営計画に掲げた経常利益450億円以上の目標を23、24年度ともに超えることができました。

25年度通期業績については、上期に生じた渇水により、貯水池の水位が平年に比べ大幅に低下し水力発電量の減少が見込まれ、さらに9月に発生した敦賀火力2号機の運転停止による収支影響もありますが、経常利益は本年度の当初計画を上回る650億円を見込んでいます。燃料価格低下による燃料調整費のタイムラグや猛暑による総販売電力量の増加といった一過性の好転要因を除いたとしても新中計で財務目標とした経常利益や自己資本比率において目標値を上回ることができ、一定の経営改革の手応えを実感しています。今後は資材価格や労務費の高騰、金利上昇などを見据え、さらに気を引き締めて事業運営を進める必要があると考えています。

井関 新中計が折り返しを迎えた中、財務目標を見直しました。

松田 さらなる企業価値の向上を目指す観点から、これまでの経営の3本柱などを堅持しつつ、よりチャレンジングな財務目標に上方修正しました。将来の需要増を踏まえた電力の安定供給と脱炭素化という社会的要請へ対応するとともに、北陸地域の復興と発展に貢献し続けるため、経常利益はこれまでの新中計の毎年450億円以上から550億円以上に引き上げ、残り3カ年累計では1800億円以上とする目標に上方修正しました。

自己資本比率の目標は20%以上から25%以上に上方修正し、ROE(自己資本利益率)については資本効率を意識した経営を行う観点から、自己資本比率25%を達成する中でも引き続き8%以上の確保を目指していきます。


電源戦略の土台固め 変化を見据え柔軟性も

井関 25年度アクションプランの中で、安定供給と新規電源の脱炭素化の土台固めを掲げています。どのようなポートフォリオを想定していますか。

松田 電源ポートフォリオをどう持つかは、電力経営の一丁目一番地の課題です。CNと安定供給、そして今後電力需要が相当程度増えることを踏まえながら、10、20年先を見据えその青写真を描かなければなりません。変化に対応できる柔軟な選択肢を持つこと含め、しっかりとした土台を作っていきます。その手はじめとして、25年4月に富山新港火力発電所LNG2号機の建設計画を決定し、発表しました。

また、CNへの対応は「再生可能エネルギーの導入拡大」「原子力の再稼働」「火力電源の脱炭素化」どれもが大事です。11月23日には当社初の国内エリア外の火力投資案件である「仙台バイオマス専焼発電所」が営業運転を開始しました。さらに、50年CNへの足掛かりとして30年に非化石電源比率50%以上を目指していますが、これを実現するには、志賀原子力発電所の復帰が不可欠です。安心・安全を大前提に、早期再稼働に向け着実に取り組んでいきます。

井関 そうした電源投資に向けては円滑な資金調達が課題となります。

松田 電源投資を取り巻く環境は、建設までに期間を要し、その後の事業も長期にわたるため、物価・金利上昇といった事後的な費用上振れリスクなどがあり、事業予見性の確保が非常に重要です。ESGファイナンスを活用するなど、多様な手段を検討することで確実に調達できるよう努めるとはいえ、事業者は大きなリスクが課題となります。

現在、国においても、公的な信用補完や融資など、ファイナンス円滑化の方策などが検討されています。事業期間中の市場環境の変化など事後的に予想を上回る大規模な費用が生じた際には、それに対応できるような制度措置や、長期脱炭素電源オークションの見直しといった市場環境の整備にも期待しています。

井関 CNを目指す中においても、当面の間は、火力発電の活用は欠かせません。

松田 今後フェードアウトされていく石炭火力についても、当面の間はkWを維持しつつ、kW時を低減していくことが第7次エネルギー基本計画に明記されており、当社としては火力発電活用に向けて、まずは石炭火力へのバイオマス混焼比率の拡大による火力発電の脱炭素化を行っています。

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