【東京ガスエンジニアリングソリューションズ】
東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)は、東京ガス、ガスターと共同開発した遠隔ガス検知技術を用い、ドローンなどロボットに搭載できるガス検知器「Laser Falcon(レーザーファルコン・LF)」を販売している。
東京ガスは1980年代から2000年代にかけて、レーザーを照射してメタンを検知する技術を研究し続けてきた。ガス検知器は空気を吸入口から取り込み成分を解析してガス漏れを検知する吸引式や、センサーで周囲のガス濃度を測定する拡散式が一般的だ。
対してレーザー式はメタンが特定の赤外線を吸収する特性を利用して、検査箇所をレーザーで照射、赤外線がどれだけ反射したのかを測定することで、照射箇所にメタンを含んだガス体がどれだけ漏えい・滞留しているかを検知する。
吸引式や拡散式はメタン以外にもイソブタンや酸素など多様な可燃性物質を検知できるメリットがあるが、レーザー式の場合、ガラス越しなど離れた場所からでもガス漏れを測定できる特長がある。本方式を用いたハンディタイプのレーザー式メタン計測器「レーザーメタンmini」は、ガス会社での保守・点検時に使用されているほか、発火や爆発の危険がある現場に急行する消防局など国内外で数多く採用されている。
ドローン向けに小型化 各種システムとも連携可能
LFを開発するにあたり、レーザーメタンminiは幅70mm×高さ179mm×厚み42mm、本体重量はバッテリー込みで600gと小型ではあるものの、ドローンやロボットに搭載できるように、さらなる小型化や改善を図った。
まず、ドローンなどに積載する上で必要のない各種情報を表示する液晶ディスプレイやメニューボタンを無くし、バッテリーも外部給電に切り替えた。これによりサイズは幅10mm×高さ8mm×厚み8mm、本体重量は230gになり、大幅な小型化・軽量化を実現している。
また、上空からでも点検できるように地表面で反射したレーザーを受光するレンズを大型化し、最大100m先の漏えいも検知できるよう改良した。取得した点検データは、ドローンシステムベンダーが開発する外部APIとの連携も可能で、例えば漏えい位置情報と測定データの関連付けなどが容易に行える。他社が提供するドローン点検システムに組み込みやすいのも大きな特長だ。
LFの開発に従事したTGES企画本部経営企画部技術企画グループの安部健マネージャーは「LFは政府が進めるスマート保安の考え方ともマッチしている。事業者とともにLFの使い方を考えていきたい」と話している。
既に海外ではドローンにLFを積載した採用事例も出始めている。バルト海に面するラトビアのエンジニアリング会社は同機を使ったメタン検知ソリューションを提供。北米でも埋立地で発生するメタンの計測用にドローンに積載したLFが利用されているという。
国内でも橋梁下に敷設されたガス管や山中に設置されたパイプラインなど、人の手で点検しにくい場所は多い。LFとドローンサービスが組み合わさった新発想の点検サービス誕生に期待が掛かる。