【特集2】電力センサーで電気使用量を可視化 IoT機器の遠隔操作も可能


【エナジーゲートウェイ】

家電の利用状況を可視化できる(写真はeconowa)

 東京電力グループのエナジーゲートウェイは、分電盤に電力センサーを設置することで宅内にある家電の稼働状況を可視化するサービス「ienowa」を提供している。

 ユーザーは各家電の電気使用量がアプリ上で確認できるほか、市販されているスマートロック、スマートリモコンなど他社製のIoT機器と連携し、アプリ上で操作する機能も搭載する。

 事業者向けには「hitonowa」というサービスを提供しており、主にハウスメーカーでの採用が多い。同サービスにはienowaユーザーへのメッセージ機能や、ユーザーの電力使用状況など各種データを収集。ハウスメーカーでは家を建てた後に購入者との接点が少ないという課題を抱えていたが、この機能により本システムで得たデータを基に提案を持ち掛けられるなど、顧客との接点を増やせるマーケティングツールとしても活用できる。

 また、蓄電池や家庭用太陽光発電(PV)を保有するユーザー向けに「econowa」を3月31日に発表。アプリ上でPVや蓄電池、家電の電気使用量を可視化し、エコーネットライト規格にも対応している。荏原実業パワーが販売する蓄電池システムの見える化システムとしても採用されている。さらにhitonowaとの連携も可能。

エナジーゲートウェイの林博之社長は「今後はPVの自家消費分を環境価値として計測するサービスも提供する予定です」と展望を語る。  電力データを核に、脱炭素時代の新規ビジネスにも挑戦する構えだ。

林博之社長

【特集2】小型端末で家電操作と見える化実現 電力料金を抑える小売りも開始


【Nature】

アプリ上で電気の使用状況を可視化可能だ

スマホから家電の操作が可能となる、スマートリモコン「Nature Remo」を販売するNature社。同社は端末をコンセントに差すだけで、手軽に電気の使用状況を可視化する「Nature Remo E」を販売している。

Nature Remo Eはエコーネットライト規格に対応。同規格に対応した住宅用太陽光パネル(PV)や蓄電池、スマートメーターと連携することで、電力の使用量やPVの稼働状況、蓄電池の残量などをアプリ上で閲覧することができる。またスマートリモコンと合わせることで、宅外からでも電気を効率的に利用できるのが大きな特徴だ。

さらに同社は今年3月1日から電力小売り事業にも進出しており、Nature Remoと連携したサービスも5月から提供開始する。内容は自社の市場連動型料金プランを契約しているユーザーに向けて、電力料金単価の上下に応じて家電の設定を適切にコントロールすることで、電力料金を抑えるというもの。

今後は固定料金プランのユーザー向けにデマンドレスポンス(DR)を用いたサービスの提供も検討しているという。

塩出晴海社長は「PV、蓄電池、電気自動車(EV)が普及し始めるなど、電力業界で起きるパラダイムシフトは止まらない。自家発電とエネルギーマネジメントによる電力供給が一戸建てでベースになる。われわれのソリューションを提供していきたい」と意欲を示す。

テックベンチャーが電力業界に新たな風を起こしそうだ。

塩出晴海社長