【特集3】PVパネルを低コストで自動清掃 海底スキャンで洋上風力調査も


【WSP】

最先端技術を搭載したロボットやドローンの製品開発を担う産業用自動化機器メーカー、ワールドスキャンプロジェクト(WSP)。同社は、「SFの世界を現実のものにする」をミッションに掲げ、これまで先駆的な製品を開発してきた。そんなWSPが次の目標に据えるのは持続可能な社会を構築すること。そのために三つのサービスを展開する。

一つ目は昨年、メディア各社に紹介された「3次元バーチャル修学旅行」を含む、小中高生へのドローン教育だ。コロナ禍で修学旅行に行くことができなかった学生向けに、VRゴーグルを通して360度の視野で、エジプトのピラミッドなど、世界遺産を見ることができるサービスを提供した。

実はこの「3次元バーチャル修学旅行」、同社が実際にエジプトに足を運び、ドローンを飛ばしてピラミッド全体を撮影したものが素材になっている。その画像を3Dスキャン技術で映像化し、VRゴーグルを付ければ、まるで現地にいるかのようにピラミッドを見ることができる。ドローンによるピラミッドの3Dスキャン撮影に成功したのは、同社が世界で初めてだという。

3次元バーチャル修学旅行とともに、ドローンの操縦方法の授業、ドローンで環境問題などの社会課題を解決する方法を学ぶSDGs(持続可能な開発目標)講座も外部講師を呼んで手掛ける。

同社管理部の新井大和氏は、「わが社は『最先端技術を用いて地球をスキャンする』を大目標に掲げています。われわれの技術でデジタル空間上にアーカイブしたピラミッドなどの世界遺産を全国の小・中・高生にお見せすることで、歴史教育にも貢献することができると確信しています」と自信をのぞかせる。

同社がスキャンするのは、地上にあるものだけではない。なんと、海底の地形や沈没船までスキャンしてしまう。WSPが開発した水中3Dスキャンロボット「天叢雲剣(MURAKUMO)」は、世界で初めてミリ精度の3Dモデルの作成を可能にし、水中の詳細な様子を数十㎞にわたる広範囲で可視化する。

天叢雲剣が活躍するのは、主に再生可能エネルギーの分野、特に洋上風力発電設備の施行前だ。天叢雲剣で海底の地形を測り、理想的な洋上風力設置地点を予想し、海底ケーブルを引っ張る経路を提案する。また、環境への配慮から生態系を保存する地帯も3Dモデルを基に決めることもできる。海底ケーブル敷設後は、定期点検も天叢雲剣で行うことができる。

この優れた水中3Dスキャンロボットは、島根県美保関沖で撮影した深海構造物が、1927年に沈没した旧日本海軍の駆逐艦「蕨」だったことも明らかにした。水中スキャン技術は、隠されていた歴史も明らかにした。

水中ドローン「MURAKUMO」から見た海底と、3Dモデル化した海底

太陽光パネルを自動清掃 運営コスト削減にも貢献

最後に、今後も設置の拡大が予想される太陽光パネルの、自動掃除ロボット「ソーラーサンバ」を展開する。

これまで太陽光パネルの清掃はほとんど人力で行われていた。しかし、特に面積の大きい太陽光パネルを清掃する際は、人力ではムラが発生し、時間経過とともに清掃員が疲れ始め、作業効率も低下する。ロボットであるソーラーサンバは疲れ知らずで、1MWのメガソーラーをわずか2、3日で清掃する。

太陽光パネルには鳥のふんや花粉、落ち葉などの汚れがこびり付きやすく、汚れが付いたままだと発電効率が悪化する。こまめに清掃が必要だが、人力ではコストもかさみ、消費水量も多くなってしまう。

ソーラーサンバは、非常に「エコ」な清掃用具だ。やわらかなナイロン製ブラシが付いており、毎秒20回転しながら時速3~5㎞で横移動する。非常にシームレスに動くため、消費水量は人力の約8分の1で済む。

ソーラーサンバを使用することで太陽光パネルが本来持っている機能を維持し、汚れをこまめに落とすことで、発電効率を向上させる。ソーラーサンバは資産としての太陽光パネルを保全するために、「マスト」なアイテムなのだ。

設立以来、最先端技術を用い、あっと驚く製品やサービスを展開してきたワールドスキャンプロジェクト。今後、脱炭素社会の到来に向け、持ち前の技術力で「SFの世界を現実のもの」にする。

太陽光パネルを清掃する「ソーラーサンバ」