【記者通信/9月7日】実に快適!「E Vトゥクトゥク」に乗ってみた

2022年9月7日

東南アジアを中心に移動で使われる「トゥクトゥク」と呼ばれる3輪バイク。これをE V(電動車)にした「E Vトゥクトゥク」が日本で売り出されている。これに試乗してみた。「快適」「軽快」「安全」「かわいい」。印象を言葉にすると、こんな単語が浮かんだ。E V(電気自動車)、小型自動車、バイクの「いいところどり」をしている印象だ。

EVトゥクトゥクのイメージ

◆E V、バイクの「いいところどり」した乗り心地

「E Vトゥクトゥク」の本体サイズは、99.5×102×201cm(幅×高さ×長さ)で小型のボックスカーを、さらに小さくした印象だ。重量は212kgだが、電動モーターで動き、加速も減速もスムーズ。操縦はバイクのようなバーハンドルで行うが、左右に曲がるときリーンしない(車体が左右に傾かない)ためハンドルを切る感じは、独特のものだ。しっかり減速すれば小回りもよく効く。乗車の際にはヘルメットはいらない。街乗りで使いやすい移動手段と思った。

バイクと違って屋根があり正面にはフロントグラスがあるため、雨風をある程度防げる。横にドアがないため、オープンカーのようで、走ると風が心地良い。最高速度は時速40kmで、スクーター程度だ。そしてエンジンを使う自動車やバイクと違って、音はなく振動も少ない。航続距離は1回のフル充電で80km程度、バッテリーを2個搭載すれば約150kmも走れ、かなり遠くまで往復できる。

足による操作がないため乗車姿勢にはかなり自由度があり、3輪自立型で床にはフロアパネルがあるためバイクのように停車のたびに地面に足をつけて車体を保つ必要がなく、安定している。乗車の気分はどちらかと言えば自動車のようだ。ブレーキは、スクーターのようなレバー操作だが効きは良かった。バイクのようなエンジンの振動も音も匂いもなく、出力1000Wのモーター駆動でスムーズに発進、加速ができる。

ハンドルにあるボタンを操作することで「リバース(後進)」ができ、その際にはモニター画面の表示が切り替わって、後部の映像(リアビュー)が映る。スピードや充電量などは液晶画面に映し出される。後部座席には、大人が2人程度乗ることもできるし、かなり大きな荷物も運ぶことができる。E V、バイク、自動車の「いいところどり」をしたような印象だ。

◆とにかく安いランニングコスト

E Vトゥクトゥクの費用はどうだろうか。

電気は、家庭用100V電源から充電するだけだ。充電時間は電気容量ゼロからフル充電まで約5時間程度だ。夜に充電にできる。またバッテリーを取り出して屋内で充電することも可能だ。電気代も充電1回平均50円程度で、財布にも環境にもやさしい。

本体価格は税込み77万円だが、ナンバープレート取得代行や自賠責保険の加入手続などの「納車パック」に11万円かかる。

これは法律の上では「側車付軽二輪」という扱いになる。側車とはバイクのサイドカーの事だ。税制上、軽二輪の扱いとなり、軽自動車税は3600円で毎年必要だが、車検が無く重量税(4900円)は納車時の一度だけだ。電気代はフル充電時で1回100円~150円程度。ランニングコストは、自動車よりもはるかに安くなる。駐車はバイクの駐車スペースがあればよく、車検や車庫証明も不要だ。

経費的には、自動車などの他の移動手段と比較して、かなり手頃だ。

◆観光業での導入拡大に期待

E Vトゥクトゥクは、ビーグルファン(東京)社が、中国のメーカーと共同して開発し、2019年から売り出した。同社の松原達郎社長は、電動キックボードを日本で初めて輸入して広めた人だ。中国のバイク(自動二輪、スクーターも含む)は、電動が大半を占めるが、その中に3輪もある。それとトゥクトゥクを組み合わせたらどうかというアイデアを持ち、中国メーカーと一緒に開発した。現在600台ほどを販売した。

販売代理店の日本環境防災(東京)の本郷安史社長は、E Vの充電器の設置や広報活動に関わってきた。これを自分でも購入し、買い物など近場の移動で「自転車のようにサンダル代わりに気軽に使っている」という。

個人の利用に加えて、宅配や訪問介護、また工場内での移動などに使うための企業の購入、また交通の脱炭素化のために行政機関の購入も増えている。そして今、本郷さんらは観光への活用の提案を続けている。排気ガスがなく騒音もないので観光地の環境を傷つけずに、訪れた観光客が近距離を楽しく、快適に移動できる。実際に観光事業者や、自治体や公的団体の問い合わせや納入が増えている。駅前やバス停でこれを貸し出し乗ってもらう。

「試乗のアンケートでは『快適』という感想が多い。環境にやさしい車としてマイクロE Vはこれから大きく伸びるだろうが、使い心地の気持ちよさがないと広がらないはずだ。E Vトゥクトゥクはその利便性に加えて、気持ちの上でも満足いただける移動手段だと思う」と、本郷さんは話す。

移動手段の脱炭素化は、これからのG X(グリーントランスフォーメーション)を進めるための大きな課題だ。E Vトゥクトゥクは、その快適さなどの長所を活かし、大きな役割を占めるかもしれない。