【特集2】富士宮市の行政サービスと連携 家庭向けPPAモデルで脱炭素化

2022年11月1日

【静岡ガス】

人々の生活に関わるさまざまな取り組みを通じて地域貢献を果たすことも、「公益事業者」であるエネルギー事業者の役割りの一つである。静岡ガスの取り組みからそんな姿勢が見えてくる。

静岡県富士市に拠点を持ち、富士市や富士宮市に供給する静岡ガス・富士支社。静岡ガス全32万件のユーザーのうち、約4万件にガスを供給している。供給量の多くが産業用だ。日頃の人々の生活必需品を支える紙パルプ、医薬品企業などの製造工場が集積する。

7年前に富士支社長に就任した瀧真砂人氏は「地域ナンバーワンのソリューション企業を目指してきました」と話す。ナンバーワンと大きな目標を掲げるのはほかでもない、周辺地域での同社認知度の低さだ。「周辺では都市ガスの普及率は50%以下で、LPガスユーザーも多いです。当社としては地元行政と連携し、行政サービスの一部をお手伝いしながら、認知度を高め、地域の方々の生活を支えていけたらと思っています」

矢継ぎ早に連携強化 市の課題は静岡ガスの課題

2018年には、「シェアリングエコノミーを通じた資源の有効活用及び地域活性化に関する連携協定」を富士宮市と締結。世界遺産に登録された「富士山」への観光客の増加に対応するために、駐車場の有効活用に取り組んだ。ユーザーが「SHIZGASエネリアパーキング」への会員登録を果たすことで、無駄のない駐車場予約と決済をサポートする。静岡県の観光産業を、裏方となって支えていく仕組みでもある。

また今年7月には、「地方創生の推進に向けた包括連携協定」を同じく富士宮市と締結し、地域との関わりを一層深めていく。具体的には①市民の安全・安心、②産業振興、③社会教育・スポーツ振興、④健康増進や食育、⑤エネルギーや環境保全、⑥地域の活性化や市民サービスの向上―といった内容だ。中でも「市民の安全・安心」に対しては、警察とも連携する。昨今、被害が増えている「振り込み詐欺被害」の防止のために、年に数回、富士宮市役所を使いながら市民も交えて防犯電話訓練を行う。シミュレーションしながら未然に防ぐための啓蒙活動を行う。また、従来から行っているのが、静岡ガス社員自らが地域の高齢者への見守り活動を展開することで、市民の安心や安全確認を、黒子となって支える。実際、ユーザーの「異常事態」に対応したケースもあったという。こうしたアプローチによる市民に密着した活動は、全国のエネルギー事業者の中でも、とても珍しい取り組みだ。

環境問題に対しても連携する。2月には地元の金融機関、商工会議所、農協など9者と「ゼロカーボンシティ実現に向けた包括協定」を締結し、富士宮市の脱炭素に向けて連携する。例えば農協は「バイオマス発電」に取り組むなど、各社各様で地元の低・脱炭素を支えていく。静岡ガスとしては、家庭向けにPPA(電力購入計画)モデルとして太陽光パネル導入サービスに注力する。「市が抱えている課題は静岡ガスの課題でもあり、地元の発展がなければエネルギー事業者としての発展もありません。これからも連携してしっかりと取り組んでいきたいですね」。

富士宮市と協定を結んだ静岡ガス