ガス・水道事業のDX化を後押し 「IoT―R」が出荷200万台突破
【東洋計器】
ガスや水道メーターの開発・製造を手掛ける東洋計器。2018年10月に発売した双方向通信端末「IoT―R」が、LPガス業界で急速にシェアを伸ばしている。この6月には、出荷台数が200万台を突破。全国のLPガス利用世帯数は2000万軒で、このうち1割が設置したことになる。
土田泰正社長は、「来年度上期には、300万台を視野に入れている」と語り、「さまざまなコンテンツと合わせ、ガス業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に貢献する」と、一層の普及拡大に意欲を見せる。
IoT―Rは、長距離データ通信、低消費電流の通信規格である「LPWA/LTE cat.M1」に対応し、ガスのマイコンメーターと連動することで検針情報や保安情報をスマートセンターに送信するほか、ボンベの遠隔残量監視による配送の合理化など、事業者の業務効率を飛躍的に向上させることができるのが大きな特徴だ。
LPガス業界では、遠隔検針や残量監視のためのテレメータリングの導入が進んでいるが、高い導入費用や通信費などが障壁となり、導入世帯は600万軒ほど。IoT―Rは、設置工事が容易であるのに加え、通信エリアが広く設置先の通信環境に依存せずに双方向通信が可能であることなどから、テレメータリングの活用の幅が広がり事業者のさらなる業務改善が進むことが期待される。

業務のDX化を推進する 七つのサービスコンテンツ
同社は、①新料金メニューの導入支援、②器具の劣化予測情報、③ウェブ明細サービス、④高齢者見守りサービス、⑤IoTとAIを活用した配送最適化情報、⑥プリペイドサービス、⑦電子請求・決済―といった七つのコンテンツの提案にも力を入れている。
例えばウェブ明細サービス「ガスるっく」は、携帯電話端末での料金明細や使用量グラフの表示機能、決済機能に対応しており、請求書のペーパーレス化を可能にするコンテンツ。決済機能とIoT―Rによるガス栓の遠隔開閉を組み合わせることで料金請求から回収、督促といった人手がかかる業務のDX化を図ることができ、社員の業務負荷を低減、ひいては将来の労働力不足への備えにつなげることができる。
今後は、IoT―Rを通じて取得される膨大なビッグデータをどう活用して事業者の業務効率改善やサービスの拡充に貢献できるかが課題。土田社長は、「IoT―Rをきっかけに、LPガスのみならず、都市ガスや水道事業に対しても、さらなる業務の合理化に取り組んでいきたい」と意気込む。