議論続くバイオマスの持続可能性 日欧の制度テーマに講演会

2022年11月9日

【バイオマス発電事業者協会】

 化石燃料の世界的高騰が続く中、コスト面からも木質バイオマス発電への注目が高まっている。他方、木質バイオマスはライフサイクル全体でみて本当にカーボンニュートラルなのか、エネルギー目的の過度な伐採が行われていないか、といった議論も続く。こうした情勢下でバイオマス発電事業者協会が9月末、木質バイオマスの「持続可能性」をテーマに講演会を開いた。

持続可能性に関する国際動向を専門家が講演

自然エネルギー財団の相川高信上級研究員は、EUを中心に持続可能性に関する制度の国際動向を解説した。EUのRED(再生可能エネルギー指令)では2009年から、液体バイオマス燃料のみを対象にし、持続可能性基準として温暖化ガス排出量(GHG)や原料生産地に関する要件などを設定している。しかし近年、森林系や農業系などの固体バイオマスも対象に加え、持続可能性基準を強化する方向で検討が進む。ただ、欧州議会での議論では環境委員会と産業委員会で意見がぶつかり、21年夏に施行予定だったスケジュールが遅れている状況だ。

改定では、木材を多段的に利用し、最終段階で燃料に活用して材を使いつくす「カスケード利用」を原則として導入し、対象設備の規模やGHG基準などについて検討。EUの木質バイオマスの37%が「一次木質バイオマス(PWB)発電」で、このうち半分程度で丸太を利用するが、環境面からこうした点への批判が強まり、PWB発電への補助金は26年以降原則廃止といった方向性だ。

ただこの解釈をめぐり、従来の論点だった丸太の制限に加え、間伐材や林地残材などの制限に関する議論も浮上している。相川氏は「以前はPWB全体を規制する流れではなかったはずが、この問題がヒートアップしてきている」と説明する。

エネ転換での位置付け発信 国際連携の進展が重要

一方、日本では間伐材の利用を前提に、高い買い取り価格で支援するものの、林野庁ガイドラインが示す「未利用木材」には間伐材だけでなく、主伐材など、EU内で批判されるような内容も含まれる。相川氏は、「日本の状況の考慮が必要な面がある一方、抱える課題は世界共有。国際組織などで各国の状況を共有し、言うべきことを主張していかなければ、エネルギー転換への枠組みの中での位置付けを失う可能性もある」と強調した。

このほか、林野庁木材利用課の小島裕章課長が国内事情について講演し、ライフサイクル全体でのGHG排出基準について政府内で検討中だと説明。さらに燃料材の安定供給、熱利用の拡大、持続可能性への配慮といった課題への対応を検討する必要があるとした。