【インフォメーション】エネルギー企業の最新動向(2022年12月号)
【東京ガス/国内初のガス・電気空調の最適制御システムを販売】
東京ガスは2023年4月からハイブリッドチラーシステム「スマートミックスチラー」の販売を開始する。ダイキン工業、ヤンマーエネルギーシステムと共同開発を進めているものだ。ダイキン製の高効率電気空調「EHPチラー」とヤンマーES製のガス空調「GHPチラー」に、東京ガスのクラウド制御サービス「エネシンフォ」を組み合わせることで、ガス空調と電気空調を最適制御する。GHPチラーの稼働により契約電力を下げることで、ランニングコストを約15%削減できるという。ガス空調と電気空調を組み合わせたチラーシステムのパッケージ商品は国内初。高い省エネ性を誇る同システムの導入により、業務用建物のZEB化を推進し、脱炭素社会実現への貢献を目指す。
【三菱重工業/タイで超大型GTCC発電所が運転開始】
三菱重工業が建設したタイ・チョンブリー県の天然ガス火力発電所が10月1日に運転を開始した。タイ最大の独立系発電業者(IPP)であるガルフ・エナジー・デベロップメント社と三井物産の合弁事業会社が進めてきたもの。三菱重工は、チョンブリー県とラヨーン県で、それぞれガスタービン4台で構成される出力265万kWのガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)火力発電所のプロジェクトを2018年に受注し、建設を進めている。今回、運開したことでチョンブリー県のプロジェクトは完成。同社は、引き続きラヨーン県の発電所の建設に取り組むとともに、世界各地の電力の安定確保と環境負荷の低減に貢献していく方針だ。
【清水建設/世界最大級のSEP船「BLUE WIND」が完成】
清水建設が発注しジャパンマリンユナイテッドが建造した、世界最大級の搭載能力とクレーン性能を持つ自航式SEP船が完成し、「BLUE WIND」と命名された。全幅50m、全長142m、総トン数2万8000tで、クレーンの最大揚重能力は2500t、最高揚重高さは158m。作業時は4本の脚を海底に着床させ、船体を海面上にジャッキアップさせることで、波浪の影響を受けずに作業できる。水深10~65mの海域に対応。8000kW風車の場合は7基、1万2000kW風車の場合は3基分の全部材をフルサイズで一括搭載が可能だ。船体のジャッキアップ・ダウンやクレーン操作などの訓練を行った後、富山県入善町沖での施工を経て、石狩湾新港洋上風力発電施設の施工を行う予定だ。
【北海道ガス/風力発電の出力変動をガスエンジンで調整】
北海道ガスは日立パワーソリューションズと「北ガス石狩風力発電所」の建設工事に関する発注契約を締結した。石狩LNG基地の隣接地で2023年4月に着工し、24年9月の運転開始を目指す。同発電所内のガスエンジン12台(9万3600kW)を風力発電の調整力として活用。ガスエンジンを調整電源とする風力発電の出力変動調整モデルは、北海道内初の取り組みだ。再エネ電源として電力事業で最大限活用し、安定性・環境性・経済性の高い発電方式の実現を目指す。
【ヤンマーエネルギーシステム/合成メタンを燃料に 実証機が基準をクリア】
ヤンマーエネルギーシステムは9月14日、東京ガスの横浜テクノステーションに合成メタンを燃料とする出力35kWのマイクロコージェネレーションシステムの実証試験機を納入した。エンジンの燃料系部品を合成メタンに合わせて変更し、都市ガスを燃料とするガスコージェネレーションシステムと同等の発電出力を実現している。都市ガスと同様の燃焼を維持することで、窒素酸化物(NOX)排出基準濃度を達成している。同機は同実証試験施設で生成された合成メタンを燃料として、運転試験に活用される予定だ。
【東芝エネルギーシステムズ/タービン発電機が対象 検査ロボットを実用化】
東芝エネルギーシステムズはこのほど、発電所用タービン発電機向け検査ロボットのサービス提供を本格的に開始すると発表した。2018年に開発したこのロボットは、中・大型発電機に加え、小型発電機にも対応可能な「薄型検査ロボット」と、バッフル乗り越えを可能とする「高機能型検査ロボット」の2種類のラインナップを用意。このロボットの使用で、検査期間は従来の約半分に短縮される。薄型検査ロボットは、一部の海外発電所でサービスを開始。高機能型検査ロボットは23年度から提供を始める。
【商船三井・東北電力/風力推進装置を搭載した石炭船が運航】
商船三井と東北電力が建造を進めていた、世界初のウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)搭載の石炭輸送船が「松風丸」と命名され、運航を開始した。ウインドチャレンジャーは、伸縮可能な帆で風力エネルギーを船の推進力に変換。航行燃料を削減し、温室効果ガス(GHG)の排出抑制などにつながる。東北電力の専用船として豪州やインドネシア、北米などからの石炭を輸送する。従来の同型船と比べ、GHGの削減効果は豪州航路で約5%、北米西海岸航路で約8%を見込む。
【レモンガス/80周年記念式典 10月に都内で開催】
LPガス販売事業者のレモンガスが、10月に都内のホテルで、創立80周年の式典を開催した。同社は1942年に練炭の製造販売会社として設立し、67年にLPガス販売を開始した。その他、アクアクララのブランド名で宅配水ビジネスの業績を伸ばす一方、最近では電力や都市ガス販売を手掛けている。今後は家庭用のユーティリティー企業として取り組む。
【中電ネットワーク・富士通/再エネ拡大への実証 送電線のデータ収集】
中国電力ネットワークと富士通は、送電設備を活用して取得・変換した風況などの環境データの実用性についての実証を実施した。2021年から1年間行ったもので、対象は、再エネ導入拡大のために次世代技術として期待される、送変電設備の送電容量を弾力的に運用する技術の実現や、設備の保全業務高度化におけるドローン活用の取り組みだ。
【中部電力ミライズほか/イオンモール土岐でPPA 商業施設で最大規模】
中部電力ミライズとLooop、中電Looop Solarの3社は、大型商業施設「イオンモール土岐」(岐阜県土岐市)の屋上スペースに太陽光発電設備を設置して、発電した電気を供給するオンサイトPPAサービスの提供を始めた。Looopが太陽光発電設備の調達・設計・施工を行い、中電Looop Solarが設備を保有・運営。中部電力ミライズは発電した再エネ由来の電力を供給する。設置した設備は、パネル容量2870kWで、商業施設としては国内最大規模。発電電力は、同施設で使用する電力の約20%に相当する。
【九州電力・ジャパン・インフラ・ウェイマーク/非GPS対応自律型ドローンの国内初実証】
九州電力は、ドローン機体・サービスの共同開発を行うジャパン・インフラ・ウェイマークと、複数機体のドローン(米国Skydio社製)による遠隔での自動・自律巡回飛行の国内初の実証を行った。この実証は、九電の苓北発電所(熊本県天草郡苓北町)にて実施。パソコンで同時に3機のドローンを操作しながら、飛行中に撮影した映像をリアルタイムに一元管理し、遠隔地で確認するものだ。活用したSkydio社製のドローンは、非GPS環境下や磁界環境下においても安全な飛行が可能なAIによる自律飛行技術、 360°全方位障害物回避機能を搭載している。両社は今後も、さらなるドローン活用範囲の拡大と高度なインフラ点検サービスの実現を目指していく。