【北海道ガス 川村社長】DXを軸に改革を断行 総合エネルギー企業へ変貌を目指す

2023年1月1日

2022年6月、大槻博現会長からバトンを受け継いだ。経営のDXを加速させるとともに、都市ガス・電気を組み合わせた総合エネルギーサービス事業の展開で、「エネルギーと環境の最適化による快適な社会の創造」を目指す。

【インタビュー:川村智郷/北海道ガス社長】

【聞き手:志賀正利/本社社長】

かわむら・ちさと 1992年早稲田大学教育学部卒、北海道ガス入社。2020年次世代プラットフォーム検討プロジェクト部長、21年執行役員DX・構造改革推進部長などを経て22年6月から現職。

志賀 2022年6月に社長に就任されました。1969年生まれで、大槻博会長(前社長)とは20歳差。21年に執行役員となったばかりで、相当驚かれたのではないでしょうか。

川村 22年1月中旬に当時の大槻社長に呼ばれ、身構えずに話を聞いていたら、社長就任への打診だったので驚きました。地元・北海道に貢献したいという思いで北海道ガスに入社しましたが、社長という立場になれば、地元への貢献でより大きな役割を果たせるのではないかと考え、引き受けることを決めました。

志賀 早稲田大学教育学部のご出身ですが、何が入社の決め手だったのでしょうか。

川村 教育学部ではありますが、特に教育関係に進もうとは考えていませんでした。満員電車もあまり得意ではなく、ずっと東京で生活するのは難しいなと思い、大学在学中の比較的早い時期から卒業したら北海道に帰ろうと考えていました。

 就職活動を通じてさまざまな業界の企業を訪問しましたが、北海道に貢献したいという思いを持つ中で、当時の人事担当者との巡りあわせもあり、北海道ガスに入社を決めました。
 当時は社員が500人ほどで、今のような事業規模の会社ではありませんでした。ましてや、電気を売ることになるとは思いもしませんでした。

電力事業は順調に伸張 価格競争はしない

志賀 入社後は、どのような仕事に携わってきましたか。

川村 最初は、ガス料金を計算したり集金に出向いたりといった業務を担う料金課に配属となりました。その後、30代になって日本ガス協会に出向したのですが、その頃はちょうど電力・ガス小売り全面自由化を巡る議論の真っただ中で、電気・ガス事業法の制度改正議論を目の当たりにし、貴重な経験をしました。

 当社に戻った後は、企画系の部門に長く所属しましたが、14年から電力事業の立ち上げに携わったのは、私にとって印象深い仕事の一つです。

志賀 就任直後の7月に、原料費調整制度の上限値を10月以降廃止することを決めました。大きな決断だったのではないでしょうか。

川村 廃止にあたっては、第一に、お客さまにご負担をかけてしまうことへの心苦しさがありました。ただ、原料の調達価格の高騰が続くと、エネルギーの安定供給のみならず、持続的なサービスの提供などにも影響する可能性があります。苦渋の決断でした。しかし北海道は、冬期間にエネルギーの使用量が増えるので、その地域特性を考慮し、3月までは平均原料価格がこれまでの上限値を超えた分の半分は料金に反映せず当社で負担するという経過措置をとることにしました。

 あわせて、当社の会員制ウェブサイト「TagTag」を通じて、省エネによる負担軽減に役立つ情報の発信を充実させたところです。 さらに、国や北海道の補助金を活用した「節電キャンペーン」を実施中ですが、当社独自の「ガスの省エネキャンペーン」も行っています。今後も、北ガスならではのノウハウを生かし、省エネをしっかり後押ししていきたいと思います。

志賀 電力事業は順調に契約数を伸ばしていますか。

川村 お客さま件数は21万件まで増え、電力事業は当社グループの売上高の約2割となり事業の柱に成長しました。契約獲得はお客さまとの接点機会での営業活動が中心ですが、最近ではウェブで他社と見比べるお客さまも多いので、ネットにタイミングよく広告を出したり、オンラインで申し込みが簡単にできるようにしたりと、ウェブマーケティングを強化しました。その成果もあり、ガスの供給区域外のお客さまも増えています。 

 電源の整備については、北ガス石狩発電所や札幌発電所などの自社電源で販売電力量の約6割を賄うまでになりました。電源としてはそのほか、相対契約による調達分もあるので、電力市場からの調達にはそれほど依存していません。国際情勢の影響によって燃料価格の高騰が続いていますが、その影響は最小限にとどめられています。

志賀 健全な事業運営や脱炭素社会の実現のためには、さまざまな投資が必要です。しかし、利益を犠牲にした過当な価格競争は企業体力を削ぎ、それらの投資を妨げることにつながりかねません。私は行き過ぎた価格競争には反対ですが、いかがお考えですか。

川村 私も同感です。期間限定のキャンペーンを行うことはありますが、価格競争をするつもりはありません。当社ならではの強みを生かしたサービスで勝負したいと考えています。お客さま宅に訪問してのガス機器保守サービスなどは当社の強みの一つですが、「TagTag」をはじめとした省エネサービスや、家庭用エネルギーマネジメントシステム「EMINEL」といったエネルギーマネジメントにも力を入れているところです。

 省エネは、お客さまの負担軽減だけではなくCO2の削減にもつながり、脱炭素に向けたベースとなる取り組みです。そのことをこれからも社会にしっかり訴えかけ、お客さまと双方向のコミュニケーションを図りながら、当社ならではの機能的で効果的な省エネを訴求していきたいと考えています。

会員制ウェブサイト「TagTag」でエネルギーの使用状況を確認できる

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