【特集2】複数拠点間での再エネ融通を最適化 環境価値の調達コストも削減可能

2023年1月3日

【三菱電機】

三菱電機は、再エネ設備の導入で脱炭素化を図る企業をサポートする。将来的には、自拠点間にとどまらない環境価値融通の場の創出を目指す。

横浜にオフィスを構える三菱電機の電力システム製作所電力ICTセンターには、同社が誇る電力・情報・通信技術を担うエンジニアが集結。先進的なソリューション創出のための開発を行っている。

電力ICTセンターはこのほど「マルチリージョン型デジタル電力最適化技術」を開発した。工場など複数拠点間における再エネ由来電力の融通を最適化し、企業の脱炭素化目標の達成を支援する。今後、同社の電力市場向けソフトウェア製品「BLEnDer」シリーズとして展開中の「再エネ発電・需要の予測」や「電力計画の作成・提出」といった機能と組み合わせた検証を行う。2023年4月には、クラウドサービス型ソリューション「マルチリージョンEMS」として提供を開始する予定だ。

30分単位で環境価値を管理 脱炭素化目標の達成を支援

近年、脱炭素社会の実現に向けて、サプライチェーンにおける再エネ導入が進められている。実際に欧米では、カーボンフリー電気で製造した製品でないと購入されないケースもあるという。こうした流れの中で、再エネを導入する企業は増加傾向にある一方、設備の設置スペースや電力の安定的な確保といった課題を抱える企業も少なくない。

これらの課題に対し、マルチリージョンEMSは電力融通と蓄電池運用で脱炭素化目標を達成する計画を策定。再エネ・需要予測や環境価値証書の価格などから、再エネ電力の自拠点内での消費、蓄電池への充電、自己託送制度を利用した別拠点への融通などの組み合わせを最適化する。環境価値調達のコスト削減も可能となる。

同システムの環境価値の管理業務は主に①脱炭素目標の設定、②需給計画の作成、③目標達成計画の表示、④目標達成計画の監視、⑤30分値の可視化、⑥最終結果の確認とレポート出力――の六つのステップで構成される。特にポイントとなるのは、⑤30分値の可視化だ。一般的には、カーボンフリー化のための環境価値は年間で管理し、月間の電力消費量に見合った分を購入する。一方、同システムでは30分単位で環境価値を管理。再エネで発電した電気と環境価値でカーボンフリー化した電気を区別することができる。拠点ごとに求める再エネ由来電力の条件が異なる場合や、設備導入の戦略検討などにも有効だ。

電力デジタルエナジーシステム開発部の塚本幸辰部長は「クラウドサービスなので、国内外問わず利用できる。参加企業が増えると、自社の拠点間だけでなく企業間での環境価値のやりとりも可能になる。そうした場として提供することで、環境価値の管理が普及していく」と今後の展望を語る。企業の脱炭素化と環境価値市場の成熟に資する同システムの実装に期待が高まる。