【特集2】石狩湾新港で洋上風力 23年末の運開へ建設進む

2023年1月3日

【グリーンパワーインベストメント】

グリーンパワーインベストメント(GPI)は特別目的会社(SPC)の合同会社グリーンパワー石狩を通じて、石狩湾新港洋上風力発電事業の2023年12月の運開に向けて建設工事を進めている。出力8000kWの着床式風車を14基据え付け、合計で11万2000kW規模の風力発電所を立ち上げる計画だ。
同社が石狩湾新港での開発に着手したのは07年。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が開始となる5年前のことだ。「風力発電に本格的に取り組み始めたのは、商社マンとして1994年からの米国駐在時代です。当時から日本のエネルギー自給率の低さを懸念しており、風力発電を建設すれば、純国産エネルギーが確保できると考えました。さらに、電源として価値を持つには大規模な風力発電所が必要になる。そうした時代がやってくると長年開発を続けてきました」。GPIの創業から携わる幸村展人副社長はそう振り返る。
大規模風力発電所を建設するに当たっては、日本の国土事情を考えると、洋上を活用すべきと当時から考えていた。そこで、当時法理的に使用権が確定し得る港湾に目を付け、国内の港湾をしらみつぶしに調査を実施。風況や電力インフラを構築する上での条件に加え、将来拡張できる可能性があるかどうかなどを検討した。そうした条件から、需要地である札幌市から近く、将来性のある地点として石狩湾新港に建設する照準を定めた。
だが、開発当初に関連行政機関などに洋上風力の話をしても、「洋上風力は港湾の目的外構造物」と言われるなど、建設を受け入れる体制もなかったとのことだ。
電源開発では、地元住民との対話が欠かせない。洋上風力の場合、漁業に携わる人々への説明も時間をかけて行う必要があるといわれている。これに対しては「当社がなぜ石狩湾新港沖で風力発電を手掛けたいのか、なぜ日本にとって風力発電が必要なのか、長い年月をかけて説明しました。必要性を訴えることで地元の方々にも理解していただくよう心掛けてきました」と幸村副社長は話す。
風力発電設備の工事は、陸上部を鹿島建設、洋上部を清水建設と日鉄エンジニアリングが手掛ける。8000kW級の洋上専用の大型風車の設置は国内初となり、このビッグチャレンジの建設作業にオールジャパン体制で挑む。

石狩湾新港洋上風力発電事業のイメージ図


大型蓄電池設備を併設 エネ循環の構築に活用


同発電所では、北海道の再エネ発電設備に対し、実質的に義務付けられていた蓄電池設備を併設する。約2haの敷地にリチウムイオン電池を収納するコンテナを42台設置した。これについては「将来を見越した上で、エネマネへの取り組みは避けて通れません。蓄電池活用のノウハウを蓄積して将来の開発や地産地消を含む再エネのエネルギー循環の構築に活用していきます」と幸村副社長。
GPIは風力発電を中心とした再エネがエネルギー資源の少ない日本にとって非常に重要であることと、自然エネルギーの活用がその地域に裨益することを広く訴えることで、今後も普及拡大を目指していく。