【特集2】洋上「施工」の技術開発進む 日本固有の課題乗り越える

2023年1月3日

【ゼネコン】

洋上風力の普及に向けて、ゼネコン各社の動きが活発だ。洋上の「作業船」の建造や施工回りの技術開発を進めている。

洋上風力の普及に向けて国内ゼネコン各社の取り組みが活発だ。中でも注目は、洋上作業に欠かせない「船」の存在である。鹿島建設や五洋建設、大林組と東亜建設はそれぞれ連携を取りながら船の建造を進めている。

清水建設では、約500億円を投じて、ジャパンマリンユナイテッドに世界最大級のSEP船の建造を発注しており、2022年10月に完成した。「BLUEWIND」と命名し、4カ月程度の試験を経て、23年3月ごろには洋上風力発電の建設工事に本格活用する。同船は総重量2万8000t、クレーンの最大揚重能力2500t、最高揚重高158mで、「世界有数の作業性能を備えている。8000kWの風車なら7基、1万2000kWなら3基分の全部材を一度にフルサイズで一括搭載できる」(清水建設広報)。自航式と呼ばれる船で、海上の目的地まで曳航するタグボートなどを必要とせずに、自ら航行できることも大きな特長だ。

着床式と浮体式の洋上風力 TLP式で「浮体コスト」減へ

洋上風力には、浮体式と海底に設置する着床式の2方式がある。着床式では、漁協との調整や風況や水深の関係で、設置区域に制約がある中、水深50m以上の沖合でも設置可能な浮体式が注目されており、特に欧米を中心に開発が進んでいる。ただ、浮体式を日本で進める場合、台風や地震が多発する固有の課題を抱えている。このため「長期間安定して電力を供給するための躯体構造と施工技術水準の確立に向けて検討を進めている状況」(業界関係者)だ。

大林組によると、「水深だけでいえば、日本は着床式の限界とされる水深50m以下の沿岸海域の約5倍の潜在面積を有しており、次世代の主流として浮体式への期待が高まっている」とする。

そうした中で、大林組は浮体式風車の参入に向け、「TLP(テンション・レグ・プラットフォーム)」と呼ぶ型式の技術に着目し、基礎構造開発に取り組んでいる。

TLP構造には、次の三つの特長がある。①浮体を海底地盤に係留するアンカーを垂直に緊張係留することで浮体の動揺を抑制する、②海洋占有面積が浮体直下に限定され、漁業者や海洋利用者への影響を最小限に抑制できる、③これまで主流だった鋼材ではなく、ゼネコンが施工管理を得意とするコンクリート製とすることで低コスト化が可能――といった特長だ。材料調達、運搬面における地元サプライチェーンの構築、高齢化が進む中での技量ある人材確保などの課題は少なくないが、知恵を絞りながら、発電効率向上を目指した工夫や、コスト低減に取り組んでいる。浮体式、着床式ともに、ゼネコン各社による技術開発に期待が掛かる。

ゼネコン各社が技術開発を進めている(写真はイメージ)