【特集2】タイでの知見を生かした国内展開 需給管理機能で再エネニーズに対応

2023年1月3日

【伊藤忠エネクス】

石炭やガス火力、さらには再エネなど、新電力でありながら多様な電源ポートフォリオを組み込み、電力の安定供給に注力する伊藤忠エネクス。熱供給事業や本業のLPガス・油販売事業など、まさに総合エネルギー企業として業界に存在感を示している。そんなエネクスが法人向けに自家消費型の太陽光発電導入サービス「TERASELソーラー」を展開している。電気や油販売など、同社と付き合いがあり、設置スペースの広いユーザーを中心に提案中だ。

同社の自家消費型モデルは二つある。一つが、ユーザー側の設備初期投資が不要な、いわゆる「エネルギーサービス」だ。ユーザー側は、大きな投資が不要な代わりに、10~20年の長期間にわたって、毎月定額の設備利用料をエネクス側に支払う。設備の導入・運用はエネクス側が担う。二つ目は、同社が設置する太陽光が発電する電気を「kW時の電気単価」に換算し、長期間にわたって電気代として支払うPPAモデルだ。現状、前者のニーズが高いという。

ビジネスに先立ち2020年、同社は東南アジアのタイで現地子会社を設立し、自家消費型モデルを始めた。当時の事情を電力・ユーティリティ部門の宮島千恵課長は「タイでは再エネ電気を電力系統に逆潮できず、完全自家消費型です。一方、当社とお付き合いのある日系企業が数多くタイに進出していて、そうした方に提案していました」と説明する。そんな実績をもとに、日本での展開にこぎ着けた。

再エネファンド通じた知見 「電気の需給管理」強み

長期にわたってサービスを続けるためには、太陽光パネルが安定的に発電するための設備運用が必要だ。同社は設備の建設工事から運用に至る一連の業務を基本的に地場の施工会社に委託しており、同社独自の基準にのっとり技術水準を担保している。また自ら主体となって組成した再エネファンドを通じて、15万kW分程度の太陽光パネル導入や運用実績がある。そうしたノウハウで技術基準を定めている。

同社はそうした自家消費型モデルの次なる展望も視野に入れている。それは、「系統連系している再エネ電気」へのニーズに関する取り組みだ。さまざまな制約で自家消費モデルを導入できないユーザーに、「電気の需給管理」で対応しようというものだ。梅本昌弘・電力需給部長が説明する。「当社は電力業務の肝である需給管理システムを独自に構築してきたのと同時に、多様な(化石資源の)燃料調達のノウハウも築き上げています。再エネのニーズが増えれば増えるほど、燃料調達までも含めた一連の需給管理の機能が重要になります。そんな機能をもとに再エネニーズに応えたい」

多様な電源と多様なユーザーを結び付けて電気の小売り業務のノウハウを培ってきたエネクスならではの取り組みだ。裏返せば、サプライチェーンの多くの領域にわたって新電力として責任ある取り組みを進めてきた強みでもある。

自家消費型の導入を支える