【特集2】風力の発電量をしわ取り制御 ガスエンジンが調整力を担う

2023年1月3日

【北海道ガス】

ガス会社が、従来の都市ガス事業の枠を超え、電力事業など「総合エネルギー企業」を志向する中、カーボンニュートラル時代を見据え、先進的な取り組みを進めるのが北海道ガスだ。2022年9月に、風力発電所(2350kW×1基)を石狩に建設することを表明した。特徴的な仕組みは既設の大型ガスエンジンとの協調運転を目指す計画にある。この「協調」とは、電気の同時同量を実現すること。発電量を風に任せる風力発電のいわば「しわ取り」を、ガスエンジンが担うというものだ。

「大変難しい技術領域だとは理解していますが、逆にいえば面白くも、やりがいもある分野への挑戦です」。石狩LNG基地設備グループの沖田雅夫課長は、こう意気込む。

沖田課長が所属する石狩LNG基地は、大型LNGタンクが立地し、LNGタンカーを受け入れ、都市ガス製造や道内各地へのLNG出荷を行っている。また敷地内には、同社の電気の小売り事業用電源として運転している「北ガス石狩発電所」の大型ガスエンジン(7800kW×12台)がある。このガスエンジンを、今回の挑戦で活用する。

調整力に優れる機関構造 ガスエンジン群で一体制御

実はガスエンジンには構造上の特徴がある。「構造は自動車の内燃機関のエンジンと同じですぐに起動します。われわれが運用している大型ガスエンジンは、立ち上げからわずか10分程度で1台当たり7800kWのフル出力までもっていくことができます。また、発電量を瞬時に増減するスピードも速いのです」(同)。常に出力が変動する再エネとの協調には、うってつけの設備だ。そのガスエンジンが「北ガス石狩発電所」に12台ある。再エネの「しわ取り」のための調整力として、非常に秀でているといえる。

北ガスが風力発電設備を北海道電力ネットワークの系統に接続するのを検討する中、たまたま先行者辞退となり、風車予定地の至近に高圧接続が可能となったそうだ。風力発電とガスエンジンが隣接する敷地内にそろうことになるが、異なる接続点にあるガスエンジン電源を調整電源として活用するケースは道内初だという。

北ガスでは、24年9月の運開を目指して、23年4月から工事に着工する。現在想定している運用は、風力の発電量データをリアルタイムでガスエンジン側に通信し、そのデータを受けてガスエンジンが調整力を発揮する。また、風力発電のそばには1500kW時の蓄電池も併設して、複合的に活用する計画だ。

これらの取り組みは、①系統負荷に影響を与えないこと、②北ガスが自らの技術力で再エネ電気をユーザーに届けられること、③ガスエンジンに「再エネ協調」という新しい役割を付加していくこと―でもあり、大変に意義深いものであることは間違いない。

風力が立地する建設イメージ