【特集2】大規模案件を次々実現 オンサイトPPA事業を拡大
【テス・エンジニアリング】
テス・エンジニアリングは、事業の新たな柱として太陽光発電のオンサイトPPA(電力購入契約)事業に注力している。2022年2月のウクライナ侵攻によって、エネルギーを取り巻く状況は一変している。電気、ガス、石油などのエネルギー価格が総じて上昇し、製造業を中心に経営を圧迫する材料となっている。一方で、50年カーボンニュートラル達成に向けた取り組みも待ったなしで求められている。
そうした中にあって、「導入コストを最小限に抑えて再生可能エネルギーを導入できるPPAモデルは、事業採算性の合うスキームとして従来にも増して注目されています」と髙崎敏宏社長は現状を説明する。
同社では、エネルギーサービスや燃料転換などの事業でエネルギー多消費産業の顧客を多く抱えている。その強みを生かし、オンサイトPPAの導入を提案、工場の屋根などに太陽光を設置してエネルギーの自家消費を促している。
22年5月には、調味料や食品エキス製造を行うアリアケジャパンの九州第1工場(長崎県佐世保市)、第2工場(同北松浦郡)では、第1工場に667・5kW、第2工場に1421・8kWの太陽光発電を導入した。工場の屋根だけでなく、工場の駐車場にカーポートを新設し、その上に太陽光パネルを設置することで発電量を増やしている。

23年2月には、DMG森精機の最大拠点である伊賀事業所に1万3400kWが稼働を開始する。第1期工事で5400kW分が開始となり、25年2月に完了予定の第2期で約8000kWが発電開始となる。電力の全量を同事業所に供給することで、同事業所の年間電力需要量の約30%を賄う。また、CO2排出量は年間約5300tを削減できる見込みとのことだ。
PPAでは、工場への設置以外にも物流倉庫への設置も進めている。工場は電力を消費する需要があるが、物流倉庫の場合は屋根に設置した設備分の発電量を消費するほど需要がないケースもある。そこで、自社の小売り電気事業などで培ったノウハウを応用し、需給管理サービスとして自家消費だけでなく、余剰電力を他の倉庫へ供給したり、市場への売電や環境価値の有効活用などもサポートする。
本番はFIT終了後 100%再エネ電気供給
FIT認定の太陽光発電所については、現在も新規建設を進めるほか、セカンダリ案件の取得にも注力している。これらの発電所は20年のFIT期間終了後も活用していく方針だ。「再エネ事業が本番を迎えるのは、FIT期間が終了した後だと考えています。FITが切れた太陽光発電所の系統接続権を生かし、エンドユーザーに100%再エネの電気を供給していく方針です」。髙崎社長はそう意気込む。
今後もエネルギーコスト低減や脱炭素化といった顧客ニーズをキャッチアップしていく構えだ。