【マーケット情報/12月23日】欧米原油が急伸、供給不安強まる

2022年12月26日

【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、主要指標が軒並み上昇。特に、米国原油を代表するWTI先物、および北海原油の指標となるブレント先物はそれぞれ、前週比5.27ドルと4.88ドルの急伸となった。供給不安が要因で、需給逼迫感が強まった。

ロシアは2023年初頭、G7の価格上限に対する対抗措置として、産油量を日量50~70万バレル程度削減する方針を示唆した。また、同国政府は、価格上限下での輸出を禁止する法案を通す計画だ。英国では、ストライキを背景に、北海油田における生産が停止するとの懸念が台頭している。

さらに、米国・ノースダコタ州では、寒波の影響により、同州の産油量110万バレルのうち、最大で日量35万バレルの生産が停止。テキサス州でも、悪天候による出荷の遅延が予想されている。加えて米政府は20日、イランとの核合意に向けた会合に進捗がないことを公表。イラン産原油の供給増加は当面見込めないとの予測が広がり、価格に対する上方圧力として働いた。

需要面では、中国で長期的な消費増加が見込まれており、需給を一段と引き締めた。同国では、新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、足元の需要は限定的。ただ、製油所の稼働率は、11月に過去18カ月における最高を記録して以来、高稼働を維持しているもよう。石油会社による西アフリカからの購入も増加しているようだ。

【12月23日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=79.56ドル(前週比5.27ドル高)、ブレント先物(ICE)=83.92ドル(前週比4.88ドル高)、オマーン先物(DME)=78.58ドル(前週1.77ドル高)、ドバイ現物(Argus)=78.18ドル(前週比1.96ドル高)