【マーケット情報/1月9日】原油下落、中国経済の回復懸念が重荷
【アーガスメディア=週刊原油概況】
先週の原油価格は、主要指標が軒並み下落。需要後退の見通しが広がり、売りが優勢となった。特に、ドバイ現物は前週比5.03ドルの大幅下落となった。
中国では、3年ぶりに渡航制限を撤廃するなどロックダウン政策を大幅緩和したものの、新型コロナ感染者が急増。経済と原油需要の回復に対する懸念拡大が弱材料となった。また、中国政府が1億5,400万バレル相当の石油製品(ガソリン、ディーゼル、ケロシン)の輸出割り当て枠を発給。国内の供給過剰を受け、前年比で約46%増となるなど、だぶつき感が現れた。一方で、輸出割り当ての増加にともない、原油の輸入需要が強まるとの見方も台頭している。実際、中国政府は今年2度目となる輸入割り当て枠を発給。合計で既に、前年の58%に達している。ただ、油価の上昇要因には至らなかった。
ロシアが同国原油の価格上限設定に対する禁輸措置を発表したが、強材料にはならなかった。IMFが米・欧州連合(EU)・中国の景気低迷を念頭に、今年は世界経済の3割が不況入りするとの見解を示すなど、需要の後退見通しと相殺される形となった。
週後半に、米国エネルギー情報局(EIA)が、ガソリンとディーゼルの在庫減少を発表したが、油価の上昇圧力は限定的だった。
【1月9日現在の原油相場(原油価格($/bl))】
WTI先物(NYMEX)=74.63ドル(前週比2.30ドル安)、ブレント先物(ICE)=79.65ドル(前週比2.45ドル安)、オマーン先物(DME)=77.23ドル(前週5.03ドル安)、ドバイ現物(Argus)=76.95ドル(前週比4.85ドル安)