アウトドアと防災対策を両立 ポータブル電源と太陽光に注目
【Jackery】
ポータブル電源、ソーラーパネルの製造販売で業界をけん引するJackery。
今後はBtoBビジネスで企業連携を模索し、持続可能な社会に貢献していく。
「グリーンエネルギーをあらゆる⼈に、あらゆる場所で提供する」というビジョンを掲げ、2012年に米・カリフォルニア州で発足した「Jackery」。
16年に世界初となるリチウムポータブル電源を発売すると、その2年後にはポータブルソーラーパネルを開発した。その技術力と商品デザインが消費者から評価され、18年から22年6月にかけてのポータブル電源とソーラーパネル合計の累計販売台数は、全世界で200万台を突破している。(Jackery調べ)
2月に発売される新製品「Jackeryポータブル電源1500Pro」は、ほぼすべての家電を扱える定格出力1800Wの大容量・高出力電源だ。ソーラーパネルとポータブル電源を組み合わせ「Jackery Solar Generator」としてセット販売も行っている。これまでのモデルより機能が向上し、最速2時間の高速充電を可能とした。そのほか、過放電による温度上昇を抑える制御システムや耐衝撃、耐火性能など高い安全性を持つ。非常用電源としての長寿命化も実現し、キャンプ好きだけでなく、防災意識の高い消費者も満足できる商品となっている。

ほかにもニーズに合わせた蓄電容量のポータブル電源(容量約240W時~2160W時)をそろえ、4月には、同社史上最大の容量と出力を備える「3000Pro」を発表する予定だ。
Jackeryが手掛けるポータブル電源について、マーケティング部のジョイス・フー氏は「当社の商品はアウトドア用ではあるが、防災や環境への意識もあり、日本人を含む多くの方から支持を受けている」と反響を語る。また、ポータブル電源の普段使いにも触れ「利用者の中には、晴れた日にソーラーパネルを使って充電し、夜と非常時にはポータブル電源で過ごす方もいる」と話す。昨今のアウトドアブームに加え、環境面、防災面でも貢献するポータブル電源への需要は高まるばかりだ。
ソーラーパネルで技術発揮 両面パネルで効率アップ
Jackeryはソーラーパネル事業でも技術力を発揮。昨年9月発売の「Jackery SolarSaga 80」は、両面発電パネルで発電効率を約25%アップさせた。その高い発電効率が認められ、世界的な認証機関から、ポータブル太陽光発電として世界初の認定を受けている。
ソーラーパネルと、現商品の中で最大容量のポータブル電源「2000Pro」のセットは、23年1月に行われた世界最大級の家電・IT見本市「CES 2023」(米・ラスベガス)で、特に評価された商品を対象とした「CES 2023イノベーションアワード」を受賞した。
また、同展で最も高い評価を得た商品コンセプトに送られる「ベスト・オブ・イノベーションアワード」には、ガリウムヒ素系の超高効率太陽電池ソーラーパネルを搭載したポータブルインフレータブルテント「Jackery LightTent-AIR」が輝いた。そのほか、ポータブル風力発電アクセサリー「Jackery Air-w」と、車輪付きアウトドア用蓄電製品「Jackery LightCycle-S1」も「CES 2023イノベーションアワード」を受賞。この3商品の発売時期は未定だが、Jackeryの商品は世界中で高い関心を集めている。

BtoBで企業連携模索 CSRで環境活動に貢献
Jackeryの商品設計は米国で行われているが、生産ラインを支えるのは中国・深センに建てられた約4万㎡の敷地に立つ大規模工場だ。生産された商品は自社ECサイトのほか、アマゾンや楽天市場などのオンライン、家電量販店でも店頭販売している。修理などカスタマーサービスに関しては、国内の修理代行と連携しているという。
現在は一般家庭へ向けた販売が中心だが、今年からはBtoB取引にも積極的に取り組んでいく。今後は3月開催予定の「スマートエネルギーWeek 春・二次電池展」の展示会に参加し、企業と連携を模索する。「企業CSR活動の一環として、自治体や防災団体に弊社のポータブル電源を提供することで、自社商品を他企業にも認知してもらう活動を続けている」(ジョイス・フー氏)
また、農業法人と連携した食品ロス削減企画や、植樹に取り組む「鎮守の森のプロジェクト」への寄付などを行ってきた。創業11周年を迎えたが、グリーンエネルギーを提供し、持続可能な方法で自然を楽しみ、地球を守る理念はこれからも変わらない。
19年の日本市場参入以来、確かな技術力と防災、環境への貢献で日本国内における「ポータブル電源」というジャンルを開拓してきた。個人で気軽にグリーンエネルギーを活用できる時代を作るため、これからも先駆者として走り続ける。