【特集2】圧倒的な省エネ性能の給湯器 ZEH住宅への採用進む

2023年2月3日

【リンナイ】

電気とガスの両方を使うハイブリッド給湯器「ECO ONE」が好調だ。エネルギー価格の高騰やカーボンニュートラルなども追い風となっている。

エネルギー価格の高騰が家計に打撃を与えるといったニュースが毎日のように飛び交っている。そんな中、リンナイの家庭用給湯・暖房システム「ECO ONE」が省エネ性能によって注目を集めている。同製品は給湯に電気とガスの二つを利用し、単一のエネルギーに依存しないのが大きな特長だ。

「ECO ONE X5」集合住宅専用モデル


2011年の東日本大震災が発生する以前は、原子力発電が多く稼働し、深夜電力が有効活用できるエコキュートが急速に普及した。震災後はBCPの観点からエネルギー源を複数確保するため、ガスの利用が見直された。その後、電力とガスの小売り全面自由化や、国の50年脱炭素宣言など、エネルギーを巡る動向は日々刻々と変化している。「そうした制度面や社会の変化によって、省エネ強化の流れが加速した。住宅メーカーは脱炭素化への意識が高く、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準の家づくりを推進している。ZEHの省エネ基準は数値化されており、省エネに寄与するならば設備採用を検討する。これがECO ONE販売の追い風となっている」。営業本部ハイブリッド営業室の柴田毅課長はこう話す。
最新機種「ECO ONE X5」では、貯湯タンクを70ℓと小型化したモデルをラインアップに加えた。都市部の住宅は貯湯タンクを設置するスペースが確保されておらず、これに対応するためだ。単にタンクを小型化すると省エネ効率は下がる。そこで新制御「ターボヒーティング」を採用した。風呂の湯はりなど、使用量が多い時間帯にヒートポンプの沸き上げ能力を通常の2.3kWから3.9kWに上昇させて運転。これにより、少ないタンク容量でも既存のECO ONEの100ℓタイプと同等の省エネ性能を実現した。エネルギー消費量は、従来のガス給湯暖房器より約39%削減している。
さらに、集合住宅専用モデルの販売を9月から開始する。集合住宅特有の設置環境に対応した省スペース設計で、メンテナンス性にも配慮したものとなる。これにより、マンションのZEHの標準化にも寄与していく構えだ。

電気とガスの利点生かし 負荷平準化・安定供給に貢献

同社では、ECO ONEの電気とガスの両方を利用する特長が、電力需要の平準化に利用できるのではないかと考えている。多くの原発が停止する中、エコキュートの販売台数は800万台を突破し深夜電力の使用量は増えている。一方、昼間は再エネの導入拡大が進み晴天時の供給量は増加傾向だ。「ECO ONEは電力供給量が過多のときは、ヒートポンプでお湯を沸き上げ、ひっ迫時はガスを利用することが可能で、時間とエネルギーの両方をシフトできる。この機能を活用し電力の平準化、安定供給に活用できるのではないか」と、柴田課長は話す。
ECO ONEのDR(デマンドレスポンス)活用――。そのためには一定の台数の普及が必要となる。同社では30年までに30万台の販売を目標に掲げる。この台数達成時にはDR活用が本格化しているだろう。