テレメータサービス専業会社を設立 検針データ生かしたサービス展開
【中部電力】
中部電力グループは2月にテレメータサービス専業会社「中電テレメータリング合同会社」を設立する。中部電力と中部電力パワーグリッドの共同出資により、電力スマートメーターの通信網を活用したさまざまなサービスを行う。
テレメータとは、「テレ=遠方」と「メータ=測定機」を組み合わせた造語で、ある地点のリアルタイムの様子をオンラインで監視できる遠隔自動データ収集装置のこと。労働人口の減少やIoT技術の進展を受け、検針や保安業務の高度化が求められるエネルギーインフラ分野において必要不可欠な技術だ。検針データなどを活用したサービスは時代の要請であり、新会社は旧一般電気事業者で初となるテレメータサービスの専業会社となる。

約10万口の自動検針に活用 サービス拡充へ実証中
中部電力は2018年にテレメータサービスの実証をスタートさせ、21年4月から中部エリアのガス・水道事業者向けにサービスの提供を開始。ガス・水道事業者は自動検針や警報情報の取得、メーターの制御を遠隔で実施でき、通信品質の良さや通信方式の長期安定性などが評価され、現在はLPガス15社をはじめ、約10万口のガス・水道の自動検針などに活用されている。この4月からは、これらの事業を新会社へ移管する。
中部電力グループは、①マーケットの拡大、②サービスの拡充―という二つの軸で新会社の事業を展開していく。①では多くの都市ガス・水道事業者への導入を目指すとともに、②では時間帯ごとの検針データを活用した高齢者の見守りやフレイル(心身が虚弱した状態)の検知、スマートフォンアプリなどから電気・ガス・水道の使用量や請求金額を一括して確認できるサービスの開発などに取り組む。サービス利用者数は、25年度に50万口を目指す。
フレイルの検知については、21年7月から水道・電気の使用量を用いて、愛知県豊明市、藤田医科大学病院と実証を開始した。また22年9月には静岡県湖西市や豊橋技術科学大学、サーラエナジーなど6者と検針データの利活用を検討・推進する包括連携協定を締結。フレイル検知のほかAIによる将来需要の予測など、ビッグデータの利活用を展開していく。
新会社の設立に関して、中部電力グループは「ビジネスモデルの変革に挑戦し、エネルギーにとどまらず、社会課題の解決やお客さまのニーズにかなったサービスの提供を進めていく」としている。