水道・ガスの自動検針を開始 電力スマメで地域社会の課題解決

2023年2月18日

【東北電力ネットワーク】

東北電力ネットワークは、水道・ガスの自動検針で地域社会の課題解決と収益拡大を図る。

スマートメーター通信ネットワークを可視化し、現場業務の効率化にも取り組んでいく。

 東北電力ネットワークは3月から電力スマートメーター(スマメ)を活用した「水道・ガスの自動検針サービス」を開始する。水道やガスのメーターに無線端末を接続し、同社のスマメ通信ネットワークを介して水道・ガス事業者に検針値などの情報を提供するものだ。

検針業務の削減や、漏水・ガス漏れの自動検知による安全確保、およびそれに伴う迅速な現場対応が可能となる。ガスの開閉栓の遠隔操作もできるため、水道・ガス事業者の顧客サービス向上が期待されている。

通信エリアが広く、独自回線でセキュリティーが高いという特徴もあり、将来的には電気・水道・ガスの使用量を見える化して、生活パターンを把握することで、効率的な使用を促すなどの活用も見込まれる。

名取市の水道使用量を検針 全国初の共通仕様を採用

2022年12月、東北電力ネットワークは宮城県名取市と「自動検針サービス利用基本契約」を締結した。3月から開始する水道使用量の自動検針事業として第1号の導入事例だ。共同検針インターフェース会議で制定した「IoTルートApplicationインタフェース仕様書」および「共同検針サーバ間インタフェース仕様書」に準拠した自動検針サービスの提供は、全国で初の取り組みとなる。

名取市と契約を締結した(左:山田司郎市長)

事業化に向けて、20年8月から水道・ガス事業者10者と共に、一般住宅やマンション・市営住宅といった集合住宅、工場・公共施設のような広大な敷地を有する個所など、さまざまな場所で実証試験を行ってきた。

これらの試験では、システム面での問題がないことを確認。通信面でも電力スマメが採用するプラチナバンドと呼ばれる920MHz帯の無線方式の有効性を確認した。東北地方特有の課題として積雪による影響を懸念していたが、現在のところ大きな電波減衰は見られていない。

これまでの実証試験においては、ガス漏れ検知や、これに伴うガス開閉栓の実績こそないが、模擬的な検知や制御を行い、いずれも問題がないことを確認。ガスの自動検針サービスの提供についても準備を進めている。

今後のサービス展開として、社内に専門のチームを設置して積極的に自動検針事業のプロモーションやサービス向上に向けた検討を実施している。同社は「多くの事業者さまに活用いただけるよう魅力あるサービスを提供していきたい」と意気込む。

新システムを開発し導入 スマメ保守管理を効率化

同社は、23年度までに供給エリア内の全需要家分として約700万台のスマメを設置し、保守・管理していく。スマメの導入が進むことで検針業務の削減や新たなサービスの提供が可能となる一方、設置に伴い、通信障害などの通信品質確保に関わる新たな保守業務も発生している。

スマメで通信障害などが発生した場合は、発生箇所を特定し改善対策を検討するため、通信経路収集率や地形や建物などの障害物、中継器の設置位置などの情報を、関連する複数のシステムから収集して調査する必要がある。

情報の多くは数値情報であるため、分析には専門的な知識やスキルを要する。だが、実際の通信経路を特定することは難しく、加えて周辺にある、ほかのスマメの通信状況を同時に確認できないため、調査・検討に時間がかかり、非効率な対応になっていた。

そこで21年3月、同社では、誰でも簡単かつ迅速な調査・検討を可能にするため、GIS(地理情報システム)を活用し、電子地図上にスマメや通信経路などを可視化する新たなシステム「スマートメーター通信ネットワーク管理システム」を導入した。

通信経路などの可視化イメージ

主な機能は、①通信経路などの可視化、②通信エリアマップの表示、③衛星写真の表示―であり、一つのシステムで複数の情報を一元的に収集・管理できるようになった。通信障害などが発生した場合は、通信経路に通信エリアマップや衛星写真などを組み合わせる。これにより、机上で地形や建物などの障害物を考慮した原因分析や、改善対策の検討が可能になるといった、効率的な運用にもつながっている。

このシステムは、米国Esri社が主催する「2022年度SAG賞(Special Achievement in GIS Award)」を受賞。スマメ保守業務の負担軽減と通信品質の確保による社会インフラへの貢献が高く評価され、世界からも注目された。

東北電力ネットワークは、今後もスマメの保守業務に係る品質向上と効率化を図るとともに、地域の人々の豊かな暮らしや課題解決につながる新たな価値の提供を行うなど、IoT技術を活用したスマート社会の実現を目指し、取り組んでいく構えだ。

水道・ガスの自動検針サービスの概要