【特集2】25年までに専焼ガスタービン開発へ 逆火・NOX対策で水素割合増やす

2023年3月3日

【三菱重工業】

三菱重工業では、水素だきガスタービン複合発電(GTCC)の開発を進めている。これまで大型ガスタービンで天然ガスに水素を30vol%(1vol%=1万ppm)混ぜて使用できるガスタービン燃焼器の開発を完了し、水素混焼割合を50vol%まで拡大した燃焼試験を実施した。さらに、中小型ガスタービン用の燃焼器で水素100%専焼(ドライ式)の燃焼試験を実施し、得られた知見を大型ガスタービン用の燃焼器にも展開して開発を進めている。また、米国の既設の高効率・大型GTCC発電プラントにて水素20vol%混焼の実証試験にも昨年成功した。これらを皮切りに、実機での実証試験を進めて早期の商用化を目指している。

水素ガスタービンは、既設の天然ガスだきガスタービンの燃焼器の交換と燃料供給系統の一部改造のみで対応可能となるため、開発のキーポイントは水素だきに対応できる燃焼技術と燃焼器となる。

技術検証は最新鋭の水素ガスタービンを用いる

世界初の一貫した検証施設 水素製造から発電まで

水素は天然ガスと比較して燃焼速度が速く、従来の拡散燃焼器に比べてサイクル効率が高い予混合燃焼器(燃料に空気をあらかじめ混合し燃焼器内に投入する方式)で混焼・専焼させた場合、天然ガスのみを燃焼させた場合よりも逆火(フラッシュバック)の発生リスクが高くなる。そのため、逆火発生の防止に向けた改良を中心に、低NOX化や安定燃焼化を実現する燃焼器の開発を進めている。

水素だき燃焼器の開発を進める中、発電に利用する水素を確保しガスタービンの運転実証を行う機会は少ない。そこで、三菱重工はガスタービンの開発・製造拠点を置く高砂製作所(兵庫県)に、水素製造から発電までにわたる技術を世界で初めて一貫して検証できる「高砂水素パーク」を、構内の実証設備複合サイクル発電所に隣接させて整備している。

水素製造に関しては、水電解装置を導入するほか、メタンを水素と固体炭素に熱分解することによりターコイズ水素を製造するなど、次世代水素製造技術の試験・実証を順次行う。

また、大型ガスタービンについては最新鋭機種であるJAC形を用いて水素混焼発電を実証するほか、中小型ガスタービンでの水素100%専焼も、H―25形ガスタービンでの実証を行う予定である。高砂水素パークでの実機実証を経て、共に2025年までの水素ガスタービン商用化を目指している。

三菱重工は脱炭素分野での実績を誇るリーダーとして、水素ガスタービンの開発・商用化を通じてグローバル社会全体のカーボンニュートラル達成に貢献していく。