【マーケット情報/3月10日】原油急落、需要後退の観測強まる
【アーガスメディア=週刊原油概況】
先週の原油価格は、主要指標が軒並み下落。米国および中国経済の先行きに不安が広がったことで、石油需要が後退するとの観測が強まった。
米国では、連邦準備制度理事会(FRB)が、従来予想を上回る水準の金利引き上げを示唆したことで経済活動が減速するとの懸念が台頭。石油市場にも下方圧力が加わった。他方で、米国エネルギー情報局(EIA)は、3月の短期エネルギー見通しで今年の国内原油生産予測を日量1,244万バレルとし、先月の同1,294万バレルから下方修正した。
中国では原油の輸入需要が伸び悩んでいる。景気の先行き不透明感と足元の在庫が適正水準を上回っていることで、1~2月の輸入量は前年同期と比べて減少。5日に開幕した全国人民代表大会では、今年の同国のGDP成長率の目標が約5%と比較的低い水準にとどまったこともあり、石油需要の回復には時間がかかりそうだ。
さらに、OPEC事務局長が、世界の原油需要は新型コロナ禍による低迷から回復基調にあるものの、欧米経済の減速が重荷との見解を示したことも、弱材料として働いた。 一方、米国の週間原油在庫統計は減少を示した。同国政府は、戦略備蓄を補充する意向を示したものの、油価への影響は限定的だった。
【3月10日現在の原油相場(原油価格($/bl))】
WTI先物(NYMEX)=76.68ドル(前週比ドル3.00安)、ブレント先物(ICE)=82.78ドル(前週比ドル3.05安)、オマーン先物(DME)=80.29ドル(前週ドル3.03安)、ドバイ現物(Argus)=80.12ドル(前週比ドル3.17安)