保管から廃棄までをワンストップ 九電グループの文書電子化サービス

2023年3月18日

【九州電力】

九州電力と記録情報マネジメント、Qsolの3社は、紙文書の電子化サービスを開始する。

調査から電子化、廃棄処分までを担い、高いセキュリティー確保とDXにつなげる。

 九州電力とグループ会社の記録情報マネジメント(RIM)、Qsolは3社合同で「九電グループドキュメント電子化サービス」(Zeropaper)を開発した。

RIMのスキャニングサービスやQsolの電子文書保管システムといった、グループ会社の実績と強みを組み合わせ、紙文書の保管から電子化、廃棄処分までをワンストップで手掛ける。世の中のペーパーレス化や働き方改革、コロナ禍でのリモートワークの浸透を追い風に、2020年10月、九電はデジタル化サービス標準化ワーキンググループを設置し検討を始めた。現在、九電グループ内で試行運用を行っており、秋には本格提供を開始する。

RIMは、機密文書処理の専門会社だ。九電の新規事業育成支援制度の第5号として01年に誕生。福岡市近郊に「福岡セキュリティセンター」を構え、紙文書の保管・管理、台帳化、電子化するサービスを提供してきた。情報セキュリティーマネジメントシステムについての国際基準ISO27001を取得しており、山口県から九州エリアまで3000を超える企業・団体との取引実績を誇る。

Qsolは、20年以上前から「電子契約保管システム」を提供するIT企業だ。企業間取引の電子契約書についてe―文書法や電子帳簿保存法に対応したタイムスタンプなどの機能を搭載。電子での保管などもサポートし、管理コストの低減にも貢献している。

九電の宮島真一ICT事業推進担当部長は、「一見対極にあるような事業だが、以前からこの二つを組み合わせられるのではないかと考えていた」と振り返る。

(左から)永野部長、宮島担当部長、原取締役

顧客に合わせサービス提供 高いセキュリティーの確保

所有している膨大な紙文書について、「社内保管を減らし、スペースを有効利用したい」「移転に伴い整理し、賃料のコストダウンにつなげたい」という企業は多い。電子化へのニーズも高まっている。だが、保管・電子化・廃棄処分を社内で仕分けるとなると、なかなか進まなくなるのが現状だ。

Zeropaperでは、顧客は自社のニーズや予算に合わせ、紙文書の①調査、②改善提案、③保管、④台帳化、⑤電子化、⑥廃棄処分―といったサービスフローの中から、項目を自由に選べる。仕分けをせずに預けてしまうこともできるのだ。その後、依頼に応じてRIMが紙文書の調査、台帳化などを進める。

RIMの原淳一郎取締役営業部長は、「仕分けをする時間がない、電子化の予算がかけられないなど、保管や電子化のハードルは高い。まずは預かり、相談しながら対応できることがZeropaperの強み」と強調する。

ワンストップで文書を扱うことは、セキュリティー確保にもつながる。一般的に、紙文書を外部保管する場合は倉庫・物流業者に、データ化する場合はIT企業に、廃棄する場合は廃棄物処理事業者にそれぞれ委託する。複数社が関わると、何らかのアクシデントで文書の散逸や紛失が起こるリスクはゼロではない。

Zeropaperでは、紙文書は全て福岡セキュリティセンターに運ばれ処理される。企業から預かる際はニーズに合わせて、個人情報保護輸送モードや警送輸送などで運搬する。

福岡セキュリティセンターは、(一財)日本品質保証機構が示す「リサイクル処理センター安全対策適合認定」を取得し、検査基準に則った管理体制で運用している。この施設内で①~⑥のサービスフローに対応する。廃棄処分する場合は文章が読めない細かさに裁断。インゴット化しラップフィルムで梱包した後、契約製紙工場に運びリサイクルされる。

サービス概要図。九電はZeropaperの企画・営業支援を行う

DX推進にも貢献 広く外販を目指す

通常、文書を電子化する場合、検索しやすくするため担当者がルールに基づきキーワードを入力して指定のフォルダに保存していく。

Qsolは、DXの推進を視野に技術力を発揮し、この一連の作業を自動化する開発を進めている。将来的には一般文書や契約書、図面にも対応させる計画だ。

Qsolの永野裕和産業営業部長は、「電子文書を各担当部署が管理するのではなく、一つのシステムに一元的に保存すれば、検索性も向上し業務効率も上がる。だが、そのための作業が増えないようにしたい」と話し、自動化を人件費削減にもつなげたいと続ける。

九電グループは、経営目標として30年に連結経常利益の半分である750億円を、国内電気事業以外で達成することを目指している。九電の宮島担当部長は、「グループが協力して目標に挑む中で、ZeropaperはDXに貢献できる事業。広く外販していく。アナログとデジタルを融合させてグループの強みを最大限生かしたい」と抱負を語った。

福岡セキュリティセンター。左の施設(5階建、延床面積3889m2)を増設する