【クローズアップ】成田国際空港との合弁会社を設立「空の拠点」のエネルギー支える

2023年4月8日

東京ガス[法人営業部門]

成田国際空港が、空港の脱炭素化戦略に向けてエネルギー設備を一新する。その一大プロジェクトに、エネルギー事業者として連携するのが東京ガスだ。

東京ガスと、成田国際空港(NAA)は今年4月、折半出資の合弁会社「Green Energy Frontier(GEF)」を設立した。空の交通インフラの拠点である成田国際空港、片やエネルギーの安定供給を担う東京ガス。ともに事業の「安定」を使命とし、公益インフラを支える両社の取り組みをひもとくと、「挑戦」ともいえる実に壮大なプロジェクトの姿が見えてくる。

インフラ企業同士の親和性 合弁会社が極めて有効

NAAはこれまで空の玄関口として、飛行機の離発着を支える業務だけでなく、空港内のエネルギーを賄う設備群の運用も自前で行っていた。今回の取り組みによって、エネルギー設備の運用業務を新会社、GEFへ移管する。この移管とともに、空港への電気や熱のエネルギー供給をGEFが全て担うことになる。目指すところは、空港に供給するエネルギーの「2050年脱炭素化」だ。

では、脱炭素化に向けた東京ガスとNAAによる企業連携の背景とは一体どのようなものなのか―。NAAは次のような趣旨を述べている。

「空港内の老朽化したエネルギー供給施設の更新や将来的な脱炭素化で環境負荷の軽減が大きな課題だった。これに対応するには、エネルギー供給事業に豊富な知識と経験を持ち、脱炭素化に向けた最先端の技術を備えた東京ガスと合弁会社を立ち上げることにより実現を目指すことが極めて有効だ」

50年までに千億円を投資 最高難度の建設工事

東京ガスに「豊富な知識と経験」を期待するNAAだが、同社自身も、自前でエネルギー設備を保有し、改修や設備更新などを繰り返しながら今日まで運用してきた。

こうしたNAA側の運用ノウハウに対して、「東京ガス側としても期待するところは多分にある。大型ガスタービンコージェネレーションや電力の特別高圧受変電設備、熱源設備など長きにわたって空港内の多様なエネルギー設備群の運用を安全にかつ安定的に担ってきた実績とそのノウハウは東京ガス側にとっても宝。両社の連携はシナジー効果を存分に発揮できると思う」。こう話すのは、GEFの苑田真之技術本部長だ。

昨年度まで東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)のソリューション営業本部のNプロジェクト部長として、機械や電気技術系の部内14人の先鋭とこのプロジェクトを推進してきた。

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