通信回線サービスで地域に貢献 スマートメーター活用の検針提供へ

2020年8月7日

【四国電力送配電】

四国電力送配電は、スマートメーターを活用した通信回線サービスに乗り出す。
地域が抱える課題解決に向け、電力インフラで培った信頼と実績を提供する。

海に囲まれ、自然豊かな四国。日本最後の清流・四万十川や、日本三大秘境の祖谷があり、四国山地には西日本最高峰の石鎚山がある。そんな四国地方も他の地方と同様、少子高齢化・過疎化といった問題を抱えている。

四国電力は6年前からスマートメーター(スマメ)を導入し、これまで電力検針業務の効率化や顧客へのサービス向上に寄与してきた。この実績をもとに、ガス・水道など同じく検針業務を行う事業者を対象として、スマメを活用した「IoT向け通信回線サービス」の準備を進めている。本年4月に発足した四国電力送配電の第1号の新規事業だ。2021年4月の開始を予定している。

通信回線サービスの概念図

社内で事業の検討会が始まったのは18年。ガス・水道事業に関する知見がない中でのスタートだった。部門を横断したメンバーで取り組みを開始し、翌年には複数箇所でフィールド実証試験を行った。無線通信端末を対象世帯に取り付け、電力スマメの通信システムを介して検針データを送信。データセンターを経由して各事業者に届ける流れだ。

企画部SM活用事業プロジェクトの堀口昌吾さんは「新しい分野で、一から知識や知見を積み上げました。検討会メンバーと協力しあって事業化が決定した時の達成感は、何ものにも代えがたい貴重な経験になりました」と振り返る。
堀口さんは現在、収集したデータを各事業者に連係するためのシステムづくりに取り組んでいる。

ガス・水道事業者は、6年にわたる電力の遠隔検針の実績に厚い信頼を寄せ、サービス導入を心待ちにしている。

北川圭一郎リーダー(左)と堀口昌吾さん

プラチナバンドを使用 セキュリティも確保

四国電力エリア内のスマメ化は19年度末時点で約147万台。普及率は約6割程度だが、従来式のメーターの交換時期に合わせてスマメに取り換えており、既に四国の隅々に行きわたっている。また、ガス・水道メーターに設置する無線通信端末とスマメ間は、回り込み特性に優れ、長距離通信が可能なプラチナバンドと呼ばれる920MHz帯無線を使用。無線通信端末は、周囲のスマメの中から電波強度の高いものを選択して通信するので、自宅がスマメ化されていなくても近くのスマメにデータを送る。

通信が不安定になっても、自動で他のスマメを探しルートを変更するため、安定した通信の提供が実現できる。これにより、6割程度の普及率でもほぼ全エリア内でのサービス展開が可能となるのだ。
通信データは強固な暗号化通信によりセキュリティを確保する。端末のソフトウェアアップデートも遠隔で実施し、セキュリティ上の対応が発生してもすぐに対処できる。

1 2