「e―フュエル」時代の夜明け G7声明が日本の戦略後押しへ

2023年5月12日

【合成燃料】

G7気候・エネルギー・環境相会合やEUの方針転換で、国内では合成燃料活用に期待が高まる。

一方で実用化にはコストや生産面での課題もあり、推進には官民一体での取り組みが必要だ。

 水素と二酸化炭素(CO2)を反応させることで生成するe―フュエル(合成燃料)。この次世代燃料について、実用化に向けた動きが活発だ。

4月15~16日に開かれたG7(主要7カ国)気候・エネルギー・環境相会合の共同声明で、運輸部門の脱炭素化対策として電気自動車(EV)の普及拡大だけではなく、「バイオ燃料や合成燃料を含む低炭素・カーボンニュートラル(CN)燃料などの技術開発を評価する」方針が盛り込まれた。声明は各国の事情を踏まえたCN燃料政策を尊重する方針を打ち出しており、日本にとっては「EVのみにこだわらない方向性が一致した」(資源エネルギー庁)と歓迎する向きが広まっている。

その原料となる水素の活用を巡っては、国際エネルギー機関(IEA)がG7エネ環境相会合に先立ち、製造された水素がクリーンかどうかを示す指標をまとめた。指標では、化石燃料由来の水素でも、CO2回収などの条件を満たす場合には環境に適合したとみなす。日本でも水素基本戦略を6年ぶりに改定する。今後15年間で官民合わせて15兆円規模の投資を目指しており、一連の世界的な動きは日本の合成燃料ビジネスを後押しする形になりそうだ。

G7気候・エネルギー・環境相会合に出席した西村康稔経産相

生き残り模索する元売り 海外企業と連携進める

世界の化石燃料の脱炭素化が進む状況で、生き残りを模索する日本の大手石油元売り会社は、石油の代替として合成燃料の開発、導入に力を傾注してきている。

国内の先頭を走るのはENEOSだ。合成燃料の製造技術開発は昨年4月からグリーンイノベーション基金に採択。最も商用化に近い「逆シフト反応(CO2と水素反応による一酸化炭素変換)+FT合成(一酸化炭素と合成ガスか

ら液体燃料を製造)」の効率化、大規模化を目指している。同社は「まず小規模プラントによる検証で25年までに1日当たり1バレル、28年までに300バレル(年間1・7㎘)の製造を目指す」(広報部)と、40年自立商用化に意気込みを見せている。

海外との連携を積極的に進める動きも加速する。

出光興産は4月5日、独ポルシェが支援するグローバル企業、HIFと戦略的パートナーシップに関する基本合意書を締結した。HIFは南米、北米、豪州などで合成燃料を製造。出光興産は国内で回収したCO2を輸送するほか、合成燃料を調達し国内に供給する。そのほかHIFの合成燃料製造ノウハウを生かし、国内での生産実用化を目指す。

コスモエネルギーHDとコスモ石油も3月、タイ・バンコクに拠点を持つ大手エネルギー企業、バンチャックと持続可能な航空燃料(SAF)、バイオナフサなど脱炭素分野を中心とした共同検討に関する覚書を締結した。SAFのみならず、ブルー水素、グリーン水素の活用や、CCUS事業でも連携。カーボンニュートラル実現を進めるとしている。

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