【マーケット情報/5月12日】欧米下落、景気低迷の見通しが重荷

2023年5月15日

【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、米国原油の指標となるWTI先物、および北海原油を代表するブレント先物が下落。経済減速、それにともなう石油需要後退の見方が下方圧力となった。

米国では、4月の消費者物価指数の伸びが鈍化し、過去2年で最低を記録。連邦準備理事会の利上げによるインフレ抑制が功を奏したとみられる。ただ、今後の利上げがどうなるかは不透明。また、5月6日までの一週間における失業手当の申請が、2021年10月以来の最多となった。加えて、イエレン米財務長官が、債務上限の一時停止、あるいは引き上げがなければ、6月1日にも債務不履行に陥る可能性があると指摘。経済が冷え込み、石油需要が弱まるとの懸念が広がった。

供給面では、サウジアラムコ社のアジア太平洋地域向け6月ターム供給は、追加減産にも関わらず、買い手の希望通りとなる見通しだ。 一方、カナダでは、アルバータ州が山火事を受け、緊急事態宣言。最低でも日量31万9,000バレル原油相当の生産が一時停止。欧米価格の下落を幾分か抑制した。また、OPECは、今年の原油需要予測を小幅に上方修正。中国を筆頭としたOECD非加盟国からの需要増加を見込んだ。これにより、中東原油の指標となるドバイ現物は、前週比で上昇した。

【5月12日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=70.04ドル(前週比1.30ドル安)、ブレント先物(ICE)=74.17ドル(前週比1.13ドル安)、オマーン先物(DME)=73.38ドル(前週比0.14ドル高)、ドバイ現物(Argus)=73.59ドル(前週比0.62ドル高)