【特集2】庁舎で全国初のZEB認証取得 行政として率先垂範示す

2023年6月3日

【神奈川県・開成町】

神奈川県開成町は2019年に役場の新庁舎を建て替え、庁舎として全国で初めて建築物省エネルギー性能表示制度の「Nearly ZEB」を取得した。東日本大震災や福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、防災やBCP(事業継続計画)対策、エネルギーの地産地消に向けて11年以降から準備を進めてきた。

「計画当初は、国内には『ZEB』の概念がなかったが、神奈川県内の大手ゼネコンの研究施設などを見学し、『少ないエネルギーでも十分に空調などを賄えるのだ』と当時の町長の指示の下でトライした。初期投資は高いがランニング費は大幅に下がる見通しだったことから、議会や町民の理解を得て準備した」(開成町街づくり推進課の柏木克紀課長)

エネルギー面ではどうか。

都市ガス未整備エリア 創エネは太陽光で対応

「都市ガス導管が未整備のため、コージェネは諦めた。創エネは屋上に設置した159kWの太陽光パネルで対応している。熱源設備には高効率の空冷式ヒートポンプチラーや地中熱ヒートポンプを導入し、地下にはピーク電力削減用の水蓄熱槽も整備している。さらに、床・天井輻射冷暖房などの空調技術を採用し省エネを図っている。設備はビルエネルギー管理システムで制御している」(柏木課長)

また北側を全面ガラス貼りにし、南側は全面を壁で覆って太陽日射を抑えている。太陽光パネルは新電力から無償提供を受け、新庁舎で自家消費利用する一方、新庁舎を含む町内の大型公共施設への電力供給を同事業者に任せている。

こうした一連の設計は設計会社と二人三脚で取り組んだ。また柏木課長自身も建築分野で著名な大学教授の指導を仰ぎながら建築への知見を深めてきたそうだ。その努力の甲斐もあり、年間の基準一次エネルギー消費量が4594GJなのに対し、実際の消費量は20年度が662GJ、21年度が566GJ、22年度が469GJと大幅削減した。このような事例に対して、小泉進次郎元環境相をはじめ、多くの見学者が訪れているそうだ。人口2万人に満たない開成町が、行政として率先垂範した取り組みは、大いに注目される。

新庁舎の延床面積は約3900㎡だ