【特集2】カーボンマイナスを目指すオフィス 自然との共生で室内環境も快適に

2023年6月3日

【戸田建設】

戸田建設が茨城県つくば市に構える筑波技術研究所のグリーンオフィス棟では、「カーボンマイナス」の取り組みが進行中だ。年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの『ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)』を達成した上で、施工から運用・解体までのCO2排出量の実質マイナスと、働きやすい室内環境づくりを目指している。

登はん・下垂植物を組み合わせて、上下に生育するよう植栽

2017年5月、ZEB建築の要素技術を実証する環境技術実証棟が完成した。その設計段階で技術実証の終了後、21年にZEBとして改修される計画だった。当時ZEBが普及しつつある中で、その先を行くカーボンマイナスの構想が浮かび上がってきた。この構想は政府がカーボンニュートラルを宣言した20年よりも早い、15年から始まっていたという。「消費エネルギーは設計時の想定より約26%低く、太陽光も多めに発電できている。ZEB計算の対象とならないコンセントなどの電力も含め、カーボンマイナスの達成を目指している。建物のライフサイクルを70年と捉え、38年ほどでエネルギー収支が逆転する計算だ」と村江行忠技術研究所長は話す。グリーンオフィス棟へと生まれ変わった現在は執務スペースとして活用され、研究所員の働きやすさの満足度も高い。

省エネと快適性を両立 壁面緑化と地中熱利用

同施設には建築をはじめとする多くの技術要素が取り入れられている。その一つに、壁面緑化ユニットがある。日光や雨風を遮るルーバーとつる植物を組み合わせ、CO2の吸収と日射熱の抑制を実現。このルーバーに使用される木材は、施設建設時に伐採した樹木を原料とした再生木だ。壁面で生育されるつる植物は、自然の要素を取り入れ生産性の向上などを促す「バイオフィリックデザイン」となるほか、紅葉など季節ごとに外観の変化をもたらす珍しい建築となっている。

ルーバーは内側からも緑が覗く

室内を快適に保つ設備としては、タスクアンビエント空調がある。個人と空間全体を効率的に空調するため、在・不在と温冷感を画像AIで解析する制御を組み込んでいる。冷暖房には熱回収効率が高いオープンループ方式で採熱した地中熱を活用している。

こうした高いデザイン性と環境性が評価され、第1回SDGs建築賞国土交通大臣賞と22年度のグッドデザイン賞を受賞した。既存の取引先を中心に、見学の問い合わせが多数寄せられている。戸田建設は、顧客に提供する施設への技術展開を通じて、脱炭素社会の実現に貢献していく方針だ。