【マーケット情報/6月2日】原油反落、需要減少の見通し広がる
【アーガスメディア=週刊原油概況】
先週の原油価格は、主要指標が軒並み下落に転じた。米中経済の先行き懸念から、需要減少の見通しが広がった。
米国では、雇用情勢が引き続き逼迫していることを示す労働統計を受けて、連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げの観測が広がり、油価の下方圧力となった。製造業では、活動縮小を示す統計が出たことから利上げ停止の見方も浮上。油価の上昇圧力になりえたものの、相対的には利上げ継続の見通しが強く、強材料にはならなかった。
また、原油在庫が、昨年11月以来の水準で減少した先々週から増加に転じたことも、材料視された。一方、米議会は、懸案だった債務上限引上げ法案を可決。債務不履行(デフォルト)回避の見通しが立ったことを受けて市場が経済安定化を好感し、油価の下落はある程度抑制された。
中国では、経済回復の停滞を示す動きが顕著だった。製造業における5月の購買担当者景気指数(PMI)は2カ月連続の悪化となり、非製造業のPMIも減少に転じた。また、国内の石油需要が市場予測を下回っていることなどを受けて、大手製油所の稼働率が低下した。ただ、季節要因からガソリンとディーゼル油の需要は上昇に転ずるとの見方が出ている。
日本では、定修と技術的トラブルから、複数の製油所が稼働を停止した。
なお、週末に行われたOPECプラスでの会合で、サウジアラビアは7月から日量100万バレルの追加的な自主減産を行うと発表した。
【6月2日現在の原油相場(原油価格($/bl))】
WTI先物(NYMEX)=71.74ドル(前週比0.93ドル安)、ブレント先物(ICE)=76.13ドル(前週比0.82ドル安)、オマーン先物(DME)=73.73ドル(前週比1.49ドル安)、ドバイ現物(Argus)=71.62ドル(前週比3.85ドル安)
*シンガポール休場のため、ドバイ現物のみ1日との比較