西条火力新1号機が運開 地域と共に安定供給を支え続ける

2023年7月4日

【四国電力】

コロナ禍での4年にわたる1号機のリプレース工事を終え、最新鋭の設備を備えた西条発電所。

発電開始から80年を経て、これからも地域と共に暮らし、四国の電力を支える存在としてあり続ける。

西条発電所1号機(石炭火力・出力15.6万kW)のリプレース工事が始まったのは2019年6月のこと。年末には、海外で新型コロナの検出が報道された。「工事は最後まで新型コロナに翻弄されました」。こう話すのは、西条1号リプレースプロジェクトチームの岡本保朗プロジェクトリーダーだ。世界中で新型コロナが蔓延し、海外で製造する機器が各国のロックダウンなどの影響で届かない。工事現場でも感染が広がり、作業が滞った。「予定通りの工程は難しいと、何度か思いました」

一向に収束が見えない中、設備メーカーは機器を国内製造に切り替えて対応してくれた。工事現場では作業員の感染拡大を最小限にとどめるよう工夫を凝らし、注意喚起を徹底。人員増強など関係者が一丸となって遅延を挽回し、当初の計画通り今年6月末、営業運転を開始した。出力50万kWとなった新1号機は、2号機と共に四国電力の電力需要の約13%を賄う。

6月末から営業運転を開始した新1号機

調整力を備えた発電所に 放水口を移し環境に配慮

愛媛県東予地域に位置し、瀬戸内海に面した西条発電所の歴史は戦前までさかのぼる。四国電力が誕生する前の日本発送電時代、1942年からこの地に建つ町のシンボルだ。旧1号機は65年から運転開始。2号機の25万kWと合わせ、途中、燃料転換などを経て、半世紀以上も四国の安定供給に貢献してきた。

高経年化設備となった旧1号機は、今後も長期にわたって信頼性のある供給力として活用するため、環境性や経済性を向上させた最新鋭の超々臨界圧発電設備(USC)へのリプレースを決定。既存設備の運転を継続しながら重原油タンクヤード跡地に建設を進め、タービン発電機、ボイラー、煙突などを設置した。高効率となった新1号機はCO2排出原単位で13%程度削減。ばい煙の排出量は約60%減、排出濃度も90%近く削減する。

タービン発電機。石鎚山の空と、水の都西条をイメージした色だ

新1号機の特徴の一つは、最低出力を15%まで下げ、7万5000kWで運転できることだ。太陽光発電など、再エネが主力電源になることを見据え、調整電源としての役割を担える設計にした。さらに昼間運転し夜間は停止するDSS運用も可能になっている。

工事では環境保全にも配慮した。発電所の北西部を流れる加茂川河口付近には肥沃な干潟が広がり、のりの養殖が行われている。設備が大きくなるとプラント排水が増えるため、排水処理装置を増設。さらに干潟への温排水の影響をできる限り抑制するよう、北側にあった放水口を約200m東側に移動させた。加えて放水口から沖に約450mの導流壁を作り、潮流の早い海域に放水。新しい取水口への再循環も回避した。

発電所の北側に延びる導流壁

西条発電所は、事業用発電所として全国で初めて木質バイオマスを導入した発電所でもある。2005年には四国地域の端材を利用するサプライチェーンを作り、混焼を開始。いち早くCO2排出削減に取り組んできた。新1号機でも混焼を継続し、25年には下水汚泥固形燃料化物も利用して、一層のCO2削減を図る計画だ。アンモニア混焼も視野に検討を進めている。

西条発電所は、80年にわたり培った発電技術のノウハウを生かし、競争力と調整力を兼ね備えた火力電源としてさらに重要な役割を担い、安定供給に貢献し続けていく。

1 2