最大6種類のガスを同時検知 船舶で採用の高性能・高耐久型
【理研計器】
世界中に石油やLNGなどを輸送するタンカー。危険物を積載するため、高度な保安管理が必要となる。その作業に、ガス検知器は必需品だ。
理研計器のポータブル型マルチガス検知器は、そうした過酷な作業現場で作業員の身を守るために使われている。このほど発売した、持ち運びやすさと安定感を両立した「GX―9000シリーズ」2機種は、従来から大幅に性能を向上させている。
従来は、検知したいガスや用途により四つの機種から選択して使い分けていた。今回、センサーを一新することで、これまで4種類に分かれていたシリーズを2種類に統合した。また、検知したいガスや用途に合わせて購入時にセンサーの組み合わせを選べるようになり、従来複数台のガス検知器が必要なケースも一台で賄えるようになった。
汎用タイプの「GX―9000」は、基本の4成分といわれる酸素、一酸化炭素(CO)、低濃度の硫化水素(H2S)、可燃性ガスに加えて、追加で2種類、合計6種類のガスを同時に検知できる。

もう一方の「GX―9000H」は、高濃度のH2Sを測定する場合に使用する。高濃度H2Sに対応するために、専用の配管を追加している。
同シリーズに搭載するセンサーは、超小型の「Rセンサー」と、高耐久の「Fセンサー」の2種類だ。GX―9000シリーズには各センサーのスロットがあり、これらを組み合わせると、測定できるガスの組み合わせは1000通りを超える。新型の両センサーは、性能だけではなく耐久性も向上。以前は1年だった保証期間も、最大3年に延長している。
同製品は極めてタフな構造だ。船の上は、潮風や波の揺れなど、不安定な状態で使用する場面も多く、防爆、防塵、防滴構造に加え、1・5m落下耐久を実現した。寒冷地から熱帯地域など環境の変化も大きいため、マイナス40~60℃と温度設計も幅広い。
営業技術課の杉山浩昭課長は、「大型タンク対応の強力なポンプで、最大45mの長距離でもガスの吸引が可能だ。LNGのパイプラインや消防の現場など、用途の幅は多岐にわたる」と説明する。
国内外の規格認証に適合 スマホで簡単データ管理も
それ以外にも、ブルートゥースでスマートフォンなどと通信が可能に。専用アプリを使って毎日の測定結果を簡単に保存でき、記録データの管理もしやすくなった。
「アンモニアや水素など、次世代の燃料にも対応できる製品。現在取得している防爆規格以外にも、国内外の船舶規格など多くの規格を取得する予定」と杉山課長は意気込む。理研計器は、ガスを扱う世界中の現場の安全を守る新製品を今後も投入していく。