顧客とガスメーターのデータを融合 LPガス業界向けに業務改善支える
【愛知時計電機/アイネット】
ガスメーターメーカーの愛知時計電機と、ITによる販売管理を手掛けるアイネットがシステム分野で連携し、LPガス業界向けに、主に閉開栓の業務を効率化する新たなサービスが誕生し、注目されている。
愛知時計電機はガスデータの配信サービス「アイチクラウド」を、アイネットは「プロパネット」と呼ぶLPガス販売・顧客管理システムを、それぞれ展開している。このたび、両社のシステムをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)によって結び付け、ガス事業者が抱える課題を解決していく。

これまでも、アイチクラウドを通じ遠隔で閉開栓する作業は可能だった。ただアイチクラウドには「個人情報」といった属性の情報がなく、閉開栓の作業の際はエンドユーザーを特定するための確認作業が必要だった。一方、販売管理システムであるプロパネットは、顧客情報・属性がひもづいている。
ではこの連携によって、どのような業務が可能になるのか。
「(エンドユーザーの)名前、住所に基づいた情報で予約登録した日時に自動で閉開栓する業務が可能になる。例えば春の引っ越しシーズンで、あらかじめ退去の日時が分かっていれば、閉栓予約を登録するだけで退去時の立ち合いも不要だ」(愛知時計電機営業本部IoT推進部の渡辺真司副部長)。
料金不払い時に関わる閉開栓の業務も軽減できる。
事業者の悩みを解決 集中監視とは違うサービス
アイネットは、データセンターを自社で運用している会社で、「LPガス向けの販売管理システムをクラウド型で構築した日本で最初の企業。また、請求書などのプリント業務や加工業務の機能も保有しており、(請求書の)発行作業などワンストップで手掛けていることが当社の特徴」(アイネットSS本部第1SS事業部ホームライフエネルギーサービス部の村田栄一部長)。小規模からの導入も可能で、自動検針の導入で「検針票の送付方法」や人員不足などで「業務効率化」に頭を悩ませている事業者にとってはありがたいサービスとなりそうだ。
このサービスは、一見すると、LPガス業界の保安業務を高度化する「集中監視」にも似ているが、保安に資する機能ではないことに留意が必要で、保安には別のシステムをAPI連携する必要があるという。