【特集2】ITを駆使したシステム化 災害対応の迅速化進める

2023年9月3日

【大阪ガスネットワーク】

1995年に発生した阪神・淡路大震災は甚大な被害を残した。被災地エリアで都市ガス供給を担う大阪ガスは、懸命の作業により約3カ月で完全復旧にこぎ着けた。以降も東日本大震災や熊本地震、大阪北部地震などを経験し、これらの復旧活動から得た知見を基に、大阪ガスネットワークでは予防対策、緊急対策、復旧対策、津波対策の四つを柱に取り組んでいる。

需要家に復旧進捗を公開 河川氾濫も事前に予測

対策の中で同社が注力するのが、ITを駆使したシステム化だ。さまざまな場面を想定し情報収集・分析・予測を行い、効率的に災害対応や情報発信する仕組みを多数発表している。大阪北部地震の直前となる2018年5月に発表した「復旧見える化システム」は、地震などによって面的に供給停止した場合、クラウドGIS(地理情報システム)サービスを活用して復旧進捗状況と完了見込みを分かりやすく需要家に公開する。大阪北部地震では、ブロック停止からの復旧進捗を色分けした地図などで掲載した。「スマホなどを利用し地図上で自宅や地域の復旧状況が確認できる点が好評だった。運用開始直後に役立った」と供給指令部供給防災チームの池田卓司マネジャーは効果を振り返る。

復旧見える化システム

台風・豪雨対策向けの「河川氾濫予測システム」は数日先までの河川氾濫を予測する。豪雨発生時、河川の氾濫は直前まで影響範囲を絞り込むことが困難で、準備に時間をかけられず、氾濫の危険がある地域への要員の安全な配置などが課題となっていた。同システムは日本気象協会の予測データから最大21パターンを生成。予測からさらに分析を行い、客観的な氾濫の可能性に基づき、数日前から対応の検討が行えるようにした。

全社的な復旧作業の管理では「災害時情報連携システム(SHAREシステム)」を構築した。同システムは、各災害対応組織からの報告が必要な事項を、あらかじめ関連事象別に整理し登録すると、入力状況や進捗状況が一覧で表示可能で、災害対応の全容が把握できる。「発災直後は混乱や情報の錯綜が起こり、初動対応が遅れやすい。大阪北部地震でも報告の抜け漏れの確認や災害対応の全容把握に時間がかかった。管理側は一目でさまざまな事象が確認でき、作業側はスマホなどから簡単に報告できる」と竹本亮太係長は同システムの有効性を説明する。

これらのシステムは、いずれも日本ガス協会の技術賞(サービス技術部門)を受賞。復旧見える化システムは19年に同協会版が公開され、全国の都市ガス事業者でも利用できる。「ソフト面での対応なら、災害対応策を迅速に取れる。初動対応を迅速化するシステム開発に取り組んでいきたい」(池田氏)。災害対応は一分一秒を争う。ガスインフラの安定供給に向けて、同社の開発に期待がかかる。