【特集2/対談】エネルギー危機で再評価進む 再エネとの親和性が後押し

2023年10月3日

EUでは15年近く前からヒートポンプ(HP)で活用する空気熱を「再エネ」として定義してきた。温暖化に加えエネルギー安全保障も喫緊の課題となる中、欧州各国はHP普及政策を加速させている。

出席

小山師真/ダイキン工業東京支社渉外室CSR・地球環境センター担当部長(左)

矢田部 隆志/東京電力ホールディングス技術戦略ユニット技術統括室プロデューサー

―欧州では、15年近くも前からヒートポンプ(HP)で活用する空気熱を再エネとして定義し、普及を後押しする政策を進めています。まず欧州の状況を解説してもらえますか。

小山 2000年代、欧州委員会は、20年までに「CO220%削減」「エネルギー効率20%向上」「再エネ比率20%」を目標とする「202020欧州戦略」を打ち出していました。当社は欧州委員会や欧州議員に働きかけ、09年に成立したEU再生可能エネルギー指令において、HPで利用する「空気熱」なども再エネとして定義されました。

―その中で日本企業はどうビジネスを展開していましたか。

小山 当社は1972年にダイキンヨーロッパ社を設立して以降、冷房・暖房需要に対してHP式のエアコン(エア・トゥ・エア、ATA)を販売してきました。そして06年には、家庭用のHP式暖房・給湯機を欧州で開発・製造し販売しています。

 「ダイキンアルテルマ」という商品名で、空気の熱からお湯を作るエア・トゥ・ウォーター(ATW)と呼ばれる方式です。日本でいうエコキュートに相当します。

 ただ、湯温の差からCO2を冷媒とするエコキュートと異なり代替フロンを冷媒としています。今日では、当社を含めて欧州における日系HPメーカーの存在感は大きい状況だと思います。

ダイキンアルテルマ

―まさに日の丸技術の海外展開で、低炭素化に貢献しています。一方、国内に目を向けると当時の状況はどういうものでしたか。

矢田部 日本では09年にエネルギー供給構造高度化法が施行されました。この法律はHPを使う需要家側というよりは電力・ガス・石油事業者などのエネルギー供給事業者側の対策で、化石エネルギーを有効に利用するだけでなく、再エネや原子力などの非化石エネルギーの促進を目的としたものです。

 当時はまだ再エネの法的根拠がなかったことから、この法律で定義しました。HPが利用する空気熱や地中熱、河川・海水熱といった熱エネルギーも含まれています。ただ、この法律はあくまでも供給者側の話で、空気熱を使うのは需要家側が中心になります。再エネと定義されたものの、欧州と異なり、国内では空気熱などの利活用に向けた具体的な動きが起きていません。

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