【四国電力 長井社長】幅広い事業で経営安定化 リーディング企業として 地域の発展を支える

2023年10月2日

志賀 ところで政府が指定する洋上風力の促進区域に四国の沖合は入っていませんね。

長井 四国近海だと、政府公募ではありませんが、例えば徳島県沖で計画があります。いずれにせよ採算性のある洋上風力適地があれば、競争は厳しくとも、当社としても参画を前向きに検討したいと考えています。

志賀 そして風力発電などの再エネ拡大を支えるのが送電網の増強です。政府の広域連系系統のマスタープランでは、四国地内の増強に1600億円、九州~四国ルートの新設が4800億~5400億円、増強が4200億円程度―と示されました。

長井 広域連系系統の増強には莫大な費用が掛かるため、しっかりと費用対効果を見極める必要があります。託送料で薄く広く回収すれば一人当たりの負担感はそれほどではないとも言われますが、それぞれの計画の内容や、その効果を見極めて実施することが重要です。
 これまでの50~60‌Hz間の周波数変換所の増強などでは、丁寧な議論がなされてきました。マスタープランにおいても、関係者による客観的・合理的な議論の下で今回の計画が策定されていますが、事業環境の変化に応じて、柔軟にプランを見直すことも含めて議論を重ねてほしいと思っています。

原子力の信頼積み重ね 火力CN化が課題

志賀 冒頭触れたように、伊方3号機は今夏の貴重な戦力となりました。規制対応に加え司法リスクもある中、再稼働に至った現場力に大いに感心しています。

長井 発電所が運転しているときと、長く停止していたときとでは所員の目の輝きが全く違います。特に燃料高騰と全国的な需給ひっ迫を受け、低廉で安定した電源である原子力に期待が高まったことで自らの仕事への誇りが一層高まり、非常に高いモチベーションで臨んでいました。
 また、原子力部門以外の役員や社外取締役などが現場に行き所員に語りかける、あるいは多くの人に見学してもらうこともまた、大きな励みになるようです。

志賀 社外への見える化の好例と言えるのが、「えひめ方式」の情報公開ですね。

長井 発電所で何かトラブルが発生した際、迅速な情報公開に消極的な対応では信用を失います。当社の場合、伊方発電所で正常ではない事象が起きた際は、たとえ軽微なものでも速やかに外部に情報をお知らせする。その上で事象の説明を丁寧に行うことで信用を得る、というサイクルがうまく回っていると感じます。

志賀 さらなる展開として、例えば小型モジュール炉(SMR)などへの関心はありますか。

長井 原子力の新しい技術について学ぶことは、安全性の向上と技術力の維持・向上に資するとともに、現場のモチベーションにもつながるため大切だと思います。一方で、伊方3号機は20年1月、定検中に連続してトラブルが発生し、地域の皆さまに多大なご心配をおかけしました。
 当社としては、安全・安定運転の実績を着実に積み重ねることが何よりも重要であり、それが地域の皆さまからの信頼の回復、ひいては安定した運転による需給の安定やCO2の削減にもつながるものと考えています。伊方3号機は運転開始から今年12月で丸29年となりますが、引き続き地域の皆さまのご理解のもと、着実に運転していきたいと思います。

志賀 とはいえ、電力需要の動向、そして再エネがどの程度拡大するのかを見極め、必要な原子力比率を目指すことも重要です。

長井 将来の電源構成については、国のエネルギー政策全体の中で議論される必要がありますが、再エネを拡大するにしても、日本の地理的状況からして、太陽光にせよ風力にせよ導入の制約はあります。
 エネルギー資源に乏しいわが国においては、やはり原子力と再エネ、それらを補完する火力をうまく組み合わせることが必要です。激しく揺れ動く国際情勢の中で、原子力の重要性はより高まっていると考えています。

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