【四国電力 長井社長】幅広い事業で経営安定化 リーディング企業として 地域の発展を支える

2023年10月2日

志賀 また火力のCNという課題は、経営全体の中でどの程度のウェートを占めるのでしょうか。

長井 電力の安定供給と脱炭素社会の実現を両立する上で最大の課題の一つであり、四国電力グループが生き残るために必須の課題であると捉えています。政府の方針も踏まえ、しっかり対応していきます。

志賀 どのようなステップで進めていきますか。

長井 最初のステップとして、経年化し効率が悪かった西条1号機を、熱効率43%以上という最新鋭のUSC(超々臨界圧)に更新。6月末に運開しました。
 続く手段として、石炭火力の西条1号機と橘湾発電所ではアンモニアやバイオマス混焼、ガス火力の坂出発電所では水素混焼が考えられ、両者を並行して検討する必要があります。燃料のサプライチェーンも含めた検討を、今まさに進めているところです。

志賀 なお、8月下旬には石油火力の阿南4号機廃止を正式に発表しました。

長井 阿南4号機は19年から長期計画停止の状態でした。設備の経年化が進む中、復帰にはかなりの時間とコストを要することから、廃止を決定しました。

「サ高住」のグレイスベース高松。利用者から好評だ

地域の発展へDX推進 電気事業以外にも本腰

志賀 昨今の電力供給不安には行き過ぎた脱炭素の影響を強く感じています。自由市場になっても電気事業者が常に安定供給を第一に営んでいくことが、地域社会の安心につながるのでしょう。さらに地域最大の企業、CNのトップリーダーという立場から、地域の展望をどう描きますか。

長井 四国は少子高齢化のピッチが全国平均より早いことから、人口減少に伴う電力需要の減少を覚悟する必要があります。一方で、脱炭素の潮流や地域課題を起点としたビジネスチャンスもあると考えています。四国に根差し、地域の暮らしや産業を支える企業として、四国全体の発展に貢献していくため、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し新たな価値創造に挑戦していきたいと考えています。

志賀 グループ会社のサービス付き高齢者住宅など、電気事業以外にも意欲的です。

長井 今夏に営業を開始したコンビニ併設の「サ高住」をはじめ複数の高齢者向け施設を四電ビジネスが運営しており、好評をいただいています。農業分野ではAIを取り入れた先進的取り組み、また希少価値の高いイチゴ栽培にも挑戦しています。さらに、四国航空ではドクターヘリの受託も行っています。
 STNetの光回線はスマートフォンの普及後も家庭のテレビで動画配信サービスを見るといったニーズがあり、契約件数が順調に伸びサービスエリアも拡大。今後、データセンター関連もさらに強化していく方針です。
 中期経営計画で当社グループの収益構造について、電気事業で半分、残り半分は電気事業以外で利益を上げる方針を掲げており、後者は概ね達成しています。冒頭述べたように、電気事業は足元苦しい状況が続いていましたが、今後は経営健全化の歩みを確実に進めていきたいと考えています。

志賀 本日は、多岐に渡る興味深いお話をありがとうございました。

<対談を終えて>
10年ぶりの規制料金値上げで燃料費高騰による逆ザヤが解消し、経営は安定に向かう。値上げ実施後の需要家の離脱はほぼないが、各方面から寄せられた値上げに対する厳しい声は、今も胸に刻んでいると、表情を引き締める。その最中に起きた顧客情報の不正閲覧に関する業務改善では、自ら現場に足を運び率直な意見を聞いて回り、手ごたえを感じ取ったという。今夏、再び戦力復帰した伊方3号はゼロカーボン安定大規模電源として存在感を示した。発電所員の目の輝きが全く違ったと、ここでは頬を緩めた。

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