【コラム/10月30日】原子力の日に考える~原点は大量エネ供給期待、今も変わらず

2023年10月30日


7,再エネの展望は

再エネ資源は、国内に多量賦存する。再エネポテンシャル(環境省19年)は、賦存量太陽光3.2兆Kwh、風力4.1兆Kwh(陸上0.7兆、洋上3.4兆)と見込む。現状の発電量は、881億Kwh(20年実績太陽光791億,風力90億:20年)である。開発できれば、優に国内の現総発電量1兆Kwhを超える。

故に開発量と開発体制が重要である。これまでの開発ペースで試算すれば、30年間で太陽光2,400億Kwh増、又風力開発を10億Kwh/年とすれば300億Kwh増、現発電量と合計すれば約3,600億Kwhとなる。さらに期待を込めて言えば、30年間で太陽・風力で4,000億Kwh、他の地熱等を1,000億Kwhとすれば、5,000億Kwhと現総発電量の半分を確保できる。実現したい目標だが、立地や経済性との絡みで岡目八目的に見れば、その半分達成できればよく遂行できたということか。

賦存量があっても、事業性を視野に入れた開発力との絡みで見ればあまり景気のいいことばかり主張もできない。地熱発電の現状を見れば理解できる。43年前に問題提起した地熱の開発障碍を未だ乗り越えていない(「膨らむ地熱エネルギーへの期待~開発の障碍を克服できるか」開銀調査80年1月参照)。太陽光、風力開発が越えるべき峠も先にある。また開発促進の視点で言えば、開発方式で現在競争入札の手法を採用しているが、開発能力の最大限活用のため、英断を持って割当方式(コスト目標提示・事後検証)で進めるべきだろう。

再エネの全速力開発が期待されるが、それでも化石エネ依存は残る。非化石としての原子力開発は重要である。


8,原子力をどう考えるか

原子力は、物理学の進歩で物質の存在、性質、そして利用可能性の実現に辿り着いた。密度の高いエネルギーで、科学技術に支えられているという意味で、技術エネルギーである。故に理論先行で、苦手な学がどうしても先走る。この物質であるウランの構成比は、ウラン235約0.72%とウラン238約99.27%である。核分裂炉で中性子捕獲すれば、ウラン238はウラン239⇒Np239⇒Pu239となる。そのPu239は、高速中性子捕獲で核分裂する。その際ウラン同様エネルギーを放射する。U238(Pu239に変換後)が技術的に利用可能であれば、大量エネルギー源として期待できる。その技術は、原子炉技術、U235とPu239と核分裂生成物質(高レベル放射性廃棄物)を分離回収する再処理技術、又高レベル放射性廃棄物のガラス固化体の処分技術である。いずれも日本の場合1970年代に技術揺籃から技術開花を迎え、その後実用化過程にある。

再処理・高速炉等実現困難の指摘もあるが、依然科学技術の挑戦の対象に相応しく、利用技術の完成度、産出エネルギーの経済性を見て実用化を進めることが賢明である。原子物理学の平和利用、ただそれだけである。


9,経済の視点から

実物経済で、エネルギーの役割は、生産・輸送・消費等の経済活動の動力源、加熱・冷却源等である。生産性向上にエネルギーは必須である。そのエネルギーが、大量に、安定的に、廉価に供給できれば、経済活動水準を押し上げる。経済成長である。産業革命時の石炭、高度成長をけん引した石油(流体革命)である。石油危機で、石炭の復活、LNG活用、原子力発電拡大、再エネ実用化に取り組む。機能的には石油の一部代替にとどまっている。

そして地球温暖化対応の温室効果ガス(CO2)排出削減・排出禁止で、化石エネは、全て使用中止となる。今後の経済水準維持に必要なエネ確保は、省エネの限界もあり、再エネ、原子力となる。その利用をいかに拡大するか。利用技術の高度化が鍵である。経済的には、再エネと原子力で必要なエネ量を確保する。原子力発電4~5千億Kwhは、実現すべき課題である。

再エネ優先とか原子力優位などの風呂屋談義をしている余裕は無いようである。


【プロフィール】経済地域研究所代表。東北大卒。日本開発銀行を経て、日本開発銀行設備投資研究所長、新都市熱供給兼新宿熱供給代表取締役社長、教育環境研究所代表取締役社長などを歴任。

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