【特集2】秦野市と包括連携協定 CNガスの供給で環境貢献

2023年11月3日

【秦野ガス】

秦野ガス(友添修吾社長)は2021年11月、神奈川県秦野市、東京ガスとともに、「カーボンニュートラルのまちづくりに向けた包括連携協定」を結んだ。その取り組みを具現化する第一歩が、カーボンニュートラル(CN)都市ガスの供給だ。

秦野ガスは昨年4月からCN都市ガスを取り扱っている。これは天然ガスの採掘から燃焼までの工程で発生する温室効果ガスを、CO2クレジットで相殺したLNGを活用したもの。同社は東京ガスから卸供給を受け、本社事務所で自家消費しているほか、秦野市役所建屋に供給を開始している。

「契約期間は5年間の長期契約だ。クレジット価格が上乗せされる分、どうしてもコスト高になるが、一方で5年間はクレジット価格の変動はなく、お客さまはリスクが少ない形でCNに向けて取り組むことが出来る」。佐野均企画部長はこう話す。

秦野市は秦野ガスの大口株主でもある。同社は市から社外取締役を受け入れ、取締役会などを通じて意見交換し、市のさまざまなニーズをヒアリングしてきた。

秦野市とは2年ほど前、電力の需給がひっ迫した際、こんなやり取りもあった。秦野ガスは電気の販売も手掛けていて、高圧向けはエネットの代理店、低圧向けは東京ガスの取次店として「秦野ガス電気」を販売している。電力がひっ迫した際には、市も他の需要家と同様に、苦境に立たされた。その窮状を聞きつけた秦野ガスは、エネットの協力を得て、グリーン電力の供給をサポートした。

一方で、CN都市ガスの採用は秦野市役所だけではない。地元の東海大学湘南キャンパスの一部の建屋では空調や厨房向けとして採用されている。「(東海大学向けに)CN都市ガスを導入することによって、学生の環境意識を高めたいという大学側のニーズに応えることができた」(佐野部長)

近隣には工業団地が存在 CNガスの潜在的なニーズ

同社供給エリアには、金属加工メーカー、電子部品メーカー、食品メーカーなど10社近くが集う大きな工業団地が存在している。「現状では重油を使っている工場もまだ残っていることから、CN都市ガスに対する潜在的なニーズはあると考えている」(飯田昌一常務取締役)。仮に新規に大口需要家向けに供給が始まったとしても、現状の供給力で対応できるとしている。だが、ニーズがあるからと言って、(中圧管の)導管整備の投資判断を下せるかどうかは別問題だという。

こうした業務・産業用の営業には二人の専門の社員が対応している。この二人が、工場内ではどういう仕組みでエネルギーを消費しているのかなどについてヒアリングを行っており、会社としてどのような提案が最適なソリューションなのか、考えるケースが増えているそうだ。

課題もある。「当社が扱うCN都市ガスは現状ではボランタリーなクレジットだ。将来的には、CO2削減分を国内法上で担保されたものを取り扱いたい」(飯田常務)としており、CN都市ガスの調達元である東京ガスに期待を寄せている。

5年間の長期契約で供給する