【特集2】一丁目一番地の「燃転」に注力 ガス体エネの優位性を訴求

2023年11月3日

【岩谷産業】

ガス体エネルギーへの燃料転換のポテンシャルは膨大とみられている。エネルギー販売のみならず設備販売なども行い、低炭素化を図る。

ガス業界のトランジション期に欠かせない取り組みの一つが、重油・灯油などの液体燃料からガス体エネルギー(燃料)利用への燃料転換だ。現実的にCO2を削減する燃転は、一丁目一番地の方策として各社が注力している。

LNG・LPガスに始まり究極のクリーンエネルギー、水素と多様なガスを商材として扱う岩谷産業にとっては主戦場である。

「ここ3年くらい、CO2削減に対するニーズが圧倒的に増えている。LPガスに関して言えば、中小企業の工場のお客さまを中心に年間で約50件の燃転を手掛けている」。総合エネルギー事業本部産業エネルギー部長の斉藤敦久執行役員はこう話す。

対象となるユーザーは、北は北海道、南は九州まで全国津々浦々だ。各地域の産業エネルギー部のメンバーがアンテナを張って、燃転ニーズを嗅ぎつける。燃転だけでなく、新工場や増設など、新たなLPガスの新規顧客の獲得も50件以上の実績を毎年重ねているという。

岩谷の特長はLPガスだけでなく、LNGも商材として扱っている点だ。天然ガスの燃焼段階でのCO2削減効果はLPガスよりも高い。旧一般電気事業者らと連携し、火力発電所のLNG基地を拠点に、ユーザーへローリーで出荷している。

燃転と新規の案件を合わせて毎年10件ほど、販売実績を伸ばしている状況だ。

補助金スキームを踏まえて 最適なメニューを提案

燃転にせよ、新規でLPガスを採用するにせよ、ユーザーにはそれなりの投資負担が発生することになる。補助金をどれだけ受けられるかは、重要だ。「われわれは補助金の活用スキームを知り尽くしているという自負がある。一般的にCO2対策では環境省から、省エネ対策では経産省から補助金がある。お客さまの設備構成によっても変わってくることから、どちらの補助金がお客さまのメリットにつながるか常に意識しながらお客さまと接している。さらにお客さまの負担を減らすために、煩雑な補助金申請業務までサポートしている」(同部の宮英之マネージャー)

宮氏は、こうした補助金ノウハウを情報共有すべく、定期的に社内向け相談会を実施するなどして営業力の底上げを図る。

そんな燃転強化にまい進する岩谷だが、そのポテンシャルはどれほどなのか―。宮氏によると、工業用途で重油や灯油の利用はLPガス換算で900万t、石炭を含めると2400万t分のポテンシャルがあるとした上で、今後は農林水産業界のCO2削減にも貢献していきたいという。

一方、最近では燃転ニーズだけではなく、太陽光発電設備の導入といった、エネルギー供給以外の取り組みも増えているそうだ。「今後は、省エネ性の高いヒートポンプ設備の導入も飛躍的に増えるだろう」(斉藤氏)。ガス体エネルギー販売だけでなく、設備を含めた多様な商材をそろえて低・脱炭素化に貢献していく構えだ。

LPガスへの燃転や新設が増えている