【特集2】CNの切り札として社会実装へ 進展するe-メタンプロジェクト

2023年11月3日


複数プロジェクトを同時進行 30年目標達成の確度高める

大ガスも、30年度に都市ガスへのe-メタン1%導入という業界の目標達成の確度を高めるべく、基本技術は既存のサバティエ反応を活用しつつ、多様な事業者と連携した異なるスキームでのe-メタン製造にチャレンジする。いずれも25年度末までに最終投資判断を行う予定だ。

例えば今夏にはENEOSとの共同で、国内初となる国産e-メタン大規模製造の検討開始を発表した。国内エネルギー大手2社による次世代プロジェクトとして、注目を集めている。ENEOSが海外で製造する再エネ由来のグリーン水素を、メチルシクロヘキサン(MCH)にして輸送。この水素と、大阪港湾部の三井化学の工場などから回収したCO2を反応させe-メタンを製造し、都市ガス需要家に供給する。

都市ガス事業者にとってe-メタンは既存インフラを使えることが強みだが、同様に石油元売りにとってもMCHという水素キャリアは既存設備を活用できるメリットがある。そしてENEOS側から見たe-メタンは、トランジション期で現実的な水素需要が見込める貴重な分野。一方の大ガスにとっては、水素調達の上流をENEOSが担うことで、e-メタン製造にリソースを集中させることができる。両者にとってwin-winのスキームといえるのだ。

では海外案件はというと、キャメロンを含め五つのプロジェクトの詳細検討が進行中だ。例えば米国中西部では、バイオマス由来のCO2を活用する計画がある。天然ガスパイプラインなどを保有・運営するトールグラス社と連携し、大ガスのe-メタン製造の知見を活用。植物由来のバイオエタノール製造プラント(グリーンプレインズ社)からCO2供給を受け、天然ガスを改質して得られるブルー水素をメタンに合成する。グリーンプロジェクトの活況を呼び込んでいるインフレ抑制法など、バイデン政権の方針にも合致する内容だ。

e-メタンに限らずカーボンリサイクルでは、CO2排出をどの段階でカウントするかが課題の一つ。その点、バイオマス由来のCO2であれば、そもそも環境負荷はないものと捉えられる可能性が高い。なお、水素生成時に発生するCO2は当面、回収・貯留を図りつつ、将来的なグリーン水素の活用も視野に入れる。そしてe-メタンはフリーポートLNG基地で液化し、日本への輸出を目指す構えだ。

いずれのプロジェクトも30年度までに製造量年間6000万㎥規模を目標に掲げ、順調に進めば1案件だけで大ガスにおける業界の30年目標が達成できる見込みだ。とはいえ具体化に向けたウィークポイントはそれぞれあり、CO2カウントルール、既存化石燃料との値差支援、拠点整備支援など、今後の政策動向に左右される面もある。先行き不透明な部分が多いが、大ガスは「社を挙げて30年1%導入を目指しつつ、それだけで満足せず、未来を見据えた活動を進めたい。そしてエネルギーセキュリティーも考慮した、将来的なe-メタン調達のポートフォリオを構築していく」方針だ。

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