【特集2】地域で増す都市ガスの存在感 脱炭素化や地方創生に期待

2023年11月3日

脱炭素社会に向け、都市ガス業界はビジネスモデルの変革を迫られている。今後の都市ガス事業者の在るべき姿とは。資源エネルギー庁ガス市場整備室の福田光紀室長に話を聞いた。

【インタビュー】福田光紀/資源エネルギー庁ガス市場整備室長

―脱炭素社会に向け、地域社会における都市ガス事業者の存在感が増しています。

福田 そもそも天然ガスは、燃焼時のCO2排出量が少なく、非常に効率性の高いエネルギーです。電化が一定程度進むとはいえ、産業分野でも特に高温域の熱需要については電化による対応が難しく、天然ガスへの燃料転換と、利用機器の効率化は低・脱炭素化の有効な選択肢だと言えます。

 また、再生可能エネルギーや水素、バイオガスといった地域資源の利活用においても、そのポテンシャルが地域によって異なることから、エネルギー供給事業者の関りが欠かせません。エネルギーの安定供給、燃料転換による低・脱炭素化に加えて、地域資源の利活用による地方創生など、都市ガス事業者が地域社会において果たす役割は多岐にわたります。

―多くの事業者が、事業を多角化することによって企業としての成長を見出そうとしています。

福田 確かに、ガスに限らず、地域の需要家が必要とするさまざまなエネルギー、サービスを提供する担い手になっていると認識しています。都市ガス事業という地域に根差した産業を営んでいるからこその発展の在り方だと思いますし、自治体や他の地域企業と連携しながら地方創生にも貢献していただきたいと考えています。

      ふくだ・みつのり 2002年京都大学大学院情報学研究科修了、経済産業省入省。
      石油天然ガス・金属鉱物資源機構(現エネルギー・金属鉱物資源機構)ロンドン事務所長、
      資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対応室長などを経て23年7月から現職。

―e-メタン(合成メタン)導入の意義をどう考えますか。

福田 天然ガスを完全に脱炭素化するために非常に重要な技術だと認識しています。これを実用化し、普及させていくためには、効率良く大量に生産するための製造技術を確立しなければなりません。触媒や熱のマネジメントなど、さまざまな研究開発の余地があり、政府はグリーンイノベーション(GI)基金を通じてこうした研究開発を支援しています。

e-メタン社会実装を後押し 規制と支援一体で検討

―大手都市ガス3社は、2030年度に都市ガス供給量の1%をe-メタンとする計画です。政府としてこれをどう支援していくのでしょうか。

福田 エネ庁としても、21年から「メタネーション推進官民協議会」を開催し検討を重ねてきましたし、ガス事業制度検討ワーキンググループにおいても、「都市ガスのカーボンニュートラル化について」をテーマに議論し、6月に中間整理を行ったところです。

 e―メタンは、既存の都市ガスインフラを活用することができるため、コストを抑えながら熱需要の脱炭素化を実現できるポテンシャルがあります。そのポテンシャルを生かしながらe―メタンの社会実装を実現するためには、官民一体の取り組みが今後、ますます不可欠となります。

 さまざまなステークホルダーが連携する必要があります。関連技術の開発や民間企業の取り組みの進捗などを踏まえながら、諸外国の制度を参考にしつつ、規制と支援一体で具体的な検討を進めていきます。