高速道路初のステーション 長距離分野に水素利用が拡大

2023年11月18日

【イワタニ水素ステーション足柄SA】

「高速道路における水素ステーションの整備は、水素利用が長距離輸送の分野に広がる画期的な取り組みだ」。9月、高速道路に初の水素供給拠点「足柄水素ステーション」がオープンした。開所式で、経済産業省の松山泰浩資源エネルギー庁次長はこう述べた。

東名高速道路の足柄サービスエリア(下り)にオープンした、岩谷産業が運用するこのステーションは、燃料電池自動車(FCV)のみならず、FCトラックにも供給する拠点だ。

高速道路で初めて水素ステーションが整備された

敷地内には、液体水素タンク(1500㎏)が設置され、岩谷が千葉、大阪、山口の国内3拠点のいずれかの液体水素工場からタンクローリーで運び込む。FCVでは300台分、トラックでは20台分の供給能力を持つ。タンクは真空断熱性で、ボイル・オフ・ガス対応を施している。トラック・バス用と、FCV用の2様式のディスペンサー(トキコシステムソリューションズ製、計2台)が整備されており、同時充てんが可能な仕様となっている。

トラックにせよ、一般のFCVにせよ、営業時間内であれば、ユーザーは好きなタイミングで好きな量だけ充てん可能だ。水素1㎏当たりの価格は1210円。現状のガソリン・ディーゼル価格の高騰局面では、コストパフォーマンスは水素に軍配が上がる。


充てん方式を改善 供給時間は4分の1

今回のステーションでは注目すべきポイントがある。それは充てん方式を改善したことだ。従来は高い圧力の蓄圧器と低い圧力の車両タンクの差圧を用いた「差圧充てん方式」だった。この方式だと蓄圧器の本数が増えてしまう。それを克服するために今回は、水素の圧縮機から直接車へ充てんする「直充てん方式」を採用した。これによって充てん時間が大幅に改善された。

「トラックやバス向けに供給する拠点はこれまでも存在していたが、従来の充てん方式では1時間近く要していた。しかし、今回の足柄では15分から20分程度と一気に4分の1程度に短縮できる」と岩谷産業の関係者は言う。

トラックなどの大型車両向け充てんの水素供給に関する「規格」の中身は業界内で協議しており、今後正式に決めていく。「決定後は、新しい規格に対応したノズルやホースに入れ替えて供給していく」(同)

国は今年6月、水素基本戦略を6年ぶりに改定し、30年までに乗用車換算で80万台(年間の水素消費量8万t)の普及を目指す構えだ。今回の高速道路での整備が、その目標に向けた一歩になる。